ワイヤレス式エアバッグ「D-air®」の歴史

作成日 2020年7月10日
By 鈴木(スズキ)

1995年。ダイネーゼ創業者であるリノ・ダイネーゼは、スキューバダイビング中にこのアイディアを思いつきました。

バイク用のエアバッグは、サーキットにおける安全性をさらにもう1段階引き上げることができるだろうと。

ここでは「D-air®」の歴史について、詳しく解説します。

1. プロトタイプの誕生(2000)

2000-d-air-is-createdD-air®初期のプロトタイプ(2000年)

2000年、ダイネーゼの創設者であるリノ・ダイネーゼの頭のなかには、エアバッグでライダーの安全を守るという確固たるイメージがありました。

長年の研究を経て、D-air®のプロトタイプとして初めてミュンヘンで披露されましたが、今からおよそ20年前の話です。

2. アドリア・サーキットでのテストが成功 (2006)

セーフティのプロフェッショナルと、何名かのドクターとの研究により、はじめてのスタントテストがアドリアサーキットで行われました。

ワイヤレスによるテストが成功したのです。

しかしまだエアバッグ本体は、おおきく膨らむようなものでした。

3. レースで初めて使われた年 (2007)

ダイネーゼにとって、2007年は記念すべき第一歩でした。

バレンシアGPの期間中、ダイネーゼのR&D(リサーチ&ディベロップメント)部門は、D-air® Racingをフルアクティブなかたちで導入しました

2007d-air初の使用2007年の画像。当時は今よりもさらに大きく膨らんだものであった。

練習走行中、シモーネ・グロツキー選手が転倒し、初めてエアバッグが展開されたのです。

4. D-air® Racing がマーケットに登場 (2011)

もっともアイコニックな存在であるバレンティーノ・ロッシが、D-air® Racingを見せる姿をカタログに起用した。

プロトタイプの登場から約10年。

それまでプロフェッショナルライダーのみが使用していた、エアバッグレーシングスーツ向けエアバッグの一般販売が開始されます。

このレース用は、首~肩エリアに特化したデザイン

あり、また現在につづく均等に5cm膨らむ特許構造が実現しました。

当時の内部構造デザイン。

5.D-air® Ski のプロトタイプ (2012)

スキー用エアバッグベスト

最初のD-air®Skiプロトタイプがリリースされ、スキーの安全性の新しい時代の幕開けとなりました。

D-air®はプラットフォームであり、アルゴリズムをスキー用に変更することで、モーターサイクルだけでなく別のスポーツでも使うことができます。

ダイネーゼは次の危険なスポーツとして、スキー(アルペン)用の開発を目指しました。

スキーに関する情報は、以下のページでも詳しく紹介しています。

6. スタンドアロン型エアバッグジャケットを発売 (2015)

2011年からマーケットに登場したD-air®の1000回の起動を記念した「Misano1000」が登場。

2015-d-air-misano-1000

これはモーターサイクルとの接続を必要としない、完全にワイヤレスで起動するエアバッグジャケットであり、また初のストリート用モデルでもありました。

7. D-air® Ski 金メダリスト (2018)

スキー用エアバッグを着用した金メダリストたちMatthias Mayer(マティアス・マイヤー)「D-air®が守り続けてくれるから、僕はスピードを競うことに集中できるんだよ。」

2018年平昌オリンピックでは、D-air® Skiを着用した2名の選手、マティアス・マイヤーとソフィア・ゴッジャが金メダルを獲得しました。

D-air® Skiは、危険度が大きいスーパー大回転と滑降の2種目に特化して設計されていますが、まさにその2種目の選手がともに金メダルに輝きました。

8. 360° 停車中にも起動する第3世代 (2018)

d-air_road_caduta-1障害物が多いストリート向けD-air®Roadは、ハイサイド、ローサイド(回転するしないにかかわらず)のみではなく、衝突にも対応する。

2018年に発売されたエアバッグジャケットシリーズは、アイドリングを感知することができ、信号待ちのあいだに突然後ろから衝突された場合などに有効です。

エアバッグ第3世代

またコレクションのレンジも増えました。
レザージャケット2タイプ、レディースが1タイプ、そしてGore-Tex®ジャケットが1タイプ。他2ピースモデルなど、さらにユーザーの選択肢を広げました。

9. Smart Jacket 新しい時代の幕開け (2020)

スマートジャケットの誕生

2020年に登場したスマートジャケットは、完全なワイヤレスでありながら、ベスト型。どのようなウェアにも組み合わせることができます。

すべてのライダーが、今までに紹介したレーシングスーツや本格的なバイクウェアを着られるわけではありません。しかしこのスマートジャケットなら、普段着の上からさっと着るだけで、最高の安全性を得られることでしょう

それではダイネーゼオフィシャル動画で、今までの経緯を振り返ってみましょう。

ダイネーゼ製エアバッグ「D-air®」は、多くの可能性を秘めています。
これからのコレクション、展開にぜひ期待してください。

 

さらに「D-air®」について知りたい方は、すべてをまとめた以下の記事をおすすめします。
バイク用エアバッグ「D-air®」 その仕組み、選び方、プロテクション性能を解説

 

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Tags: モーターサイクル, D-air®(エアバッグ)

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