1995年。ダイネーゼ創業者であるリノ・ダイネーゼは、スキューバダイビング中にこのアイディアを思いつきました。
バイク用のエアバッグは、サーキットにおける安全性をさらにもう1段階引き上げることができるだろうと。
ここでは「D-air®」の歴史について、詳しく解説します。
1. プロトタイプの誕生(2000)
D-air®初期のプロトタイプ(2000年)
2000年、ダイネーゼの創設者であるリノ・ダイネーゼの頭のなかには、エアバッグでライダーの安全を守るという確固たるイメージがありました。
長年の研究を経て、D-air®のプロトタイプとして初めてミュンヘンで披露されましたが、今からおよそ20年前の話です。
2. アドリア・サーキットでのテストが成功 (2006)
セーフティのプロフェッショナルと、何名かのドクターとの研究により、はじめてのスタントテストがアドリアサーキットで行われました。
ワイヤレスによるテストが成功したのです。
しかしまだエアバッグ本体は、おおきく膨らむようなものでした。
3. レースで初めて使われた年 (2007)
ダイネーゼにとって、2007年は記念すべき第一歩でした。
バレンシアGPの期間中、ダイネーゼのR&D(リサーチ&ディベロップメント)部門は、D-air® Racingをフルアクティブなかたちで導入しました。
2007年の画像。当時は今よりもさらに大きく膨らんだものであった。
練習走行中、シモーネ・グロツキー選手が転倒し、初めてエアバッグが展開されたのです。
4. D-air® Racing がマーケットに登場 (2011)
もっともアイコニックな存在であるバレンティーノ・ロッシが、D-air® Racingを見せる姿をカタログに起用した。
プロトタイプの登場から約10年。
それまでプロフェッショナルライダーのみが使用していた、エアバッグレーシングスーツ向けエアバッグの一般販売が開始されます。
このレース用は、首~肩エリアに特化したデザインで
あり、また現在につづく均等に5cm膨らむ特許構造が実現しました。
当時の内部構造デザイン。
5.D-air® Ski のプロトタイプ (2012)
最初のD-air®Skiプロトタイプがリリースされ、スキーの安全性の新しい時代の幕開けとなりました。
D-air®はプラットフォームであり、アルゴリズムをスキー用に変更することで、モーターサイクルだけでなく別のスポーツでも使うことができます。
ダイネーゼは次の危険なスポーツとして、スキー(アルペン)用の開発を目指しました。
スキーに関する情報は、以下のページでも詳しく紹介しています。
6. スタンドアロン型エアバッグジャケットを発売 (2015)
2011年からマーケットに登場したD-air®の1000回の起動を記念した「Misano1000」が登場。
これはモーターサイクルとの接続を必要としない、完全にワイヤレスで起動するエアバッグジャケットであり、また初のストリート用モデルでもありました。
7. D-air® Ski 金メダリスト (2018)
Matthias Mayer(マティアス・マイヤー)「D-air®が守り続けてくれるから、僕はスピードを競うことに集中できるんだよ。」
2018年平昌オリンピックでは、D-air® Skiを着用した2名の選手、マティアス・マイヤーとソフィア・ゴッジャが金メダルを獲得しました。
D-air® Skiは、危険度が大きいスーパー大回転と滑降の2種目に特化して設計されていますが、まさにその2種目の選手がともに金メダルに輝きました。
8. 360° 停車中にも起動する第3世代 (2018)
障害物が多いストリート向けD-air®Roadは、ハイサイド、ローサイド(回転するしないにかかわらず)のみではなく、衝突にも対応する。
2018年に発売されたエアバッグジャケットシリーズは、アイドリングを感知することができ、信号待ちのあいだに突然後ろから衝突された場合などに有効です。
またコレクションのレンジも増えました。
レザージャケット2タイプ、レディースが1タイプ、そしてGore-Tex®ジャケットが1タイプ。他2ピースモデルなど、さらにユーザーの選択肢を広げました。
9. Smart Jacket 新しい時代の幕開け (2020)
2020年に登場したスマートジャケットは、完全なワイヤレスでありながら、ベスト型。どのようなウェアにも組み合わせることができます。
すべてのライダーが、今までに紹介したレーシングスーツや本格的なバイクウェアを着られるわけではありません。しかしこのスマートジャケットなら、普段着の上からさっと着るだけで、最高の安全性を得られることでしょう
それではダイネーゼオフィシャル動画で、今までの経緯を振り返ってみましょう。
ダイネーゼ製エアバッグ「D-air®」は、多くの可能性を秘めています。
これからのコレクション、展開にぜひ期待してください。
さらに「D-air®」について知りたい方は、すべてをまとめた以下の記事をおすすめします。
バイク用エアバッグ「D-air®」 その仕組み、選び方、プロテクション性能を解説
関連リンク