現代のレーシングスーツの基礎を作ったのはダイネーゼ?Part.2

作成日 2023年12月23日 | 最終更新日 2024年10月8日
By 堀嶋(ホリシマ)

こんにちは!

早速今回のブログのテーマですが、

現代のレーシングスーツの基礎を作ったのは

ダイネーゼ?Part.1の続編になります!

前作はリンクからご覧いただけますので、

ご興味がございましたらぜひご覧ください😌

それでは続編スタートです!

 

時は1970年代後半。

ダイネーゼが会社を立ち上げ間もないころ...

あるライダーが時速230kmでマシンのコントロールを

失い、クッションも何もないポールに激突😨

一命は取り留めましたが、後遺症で半身不随に

なってしまいました...。

このニュースはダイネーゼに大きなインパクトを与え、

「二度と、このようなことがないようにしたい!」

決意し、新たなバックプロテクターの開発を始めます🤔

自主的にスーツの中にラバークッションを入れていた

レジェンドライダー、バリー・シーンもどんどん

スピードが上がるレース用のバイクを危惧し、

ダイネーゼにプロテクションの強化を求めていました🙏

ダイネーゼと開発デザインチームは自然生物から

新しいプロテクターの着想を得ました😲

科学とデザインを掛け合わせた当時目新しかった、

バイオミメティクスデザインを導入し、

カメやアルマジロなど参考にしたとか...

最終的に構造が最も理にかなっているロブスター

選ばれ、写真のようなプロテクターが生まれました!

しかし、すぐには普及せず...

今までプロテクターを入れていなかった

ライダーからするとかさばることが

懸念材料だったようです...😥

しかし、一気に評価が一変する出来事がありました😲

ダイネーゼが「バックプロテクターを着けてくれ!」と

強くオファーしていた当時ダイネーゼライダー、

フレディ・スペンサーがオファーを受けたその日に

まさかの大クラッシュ😱

背中をコンクリート壁に強く叩きつけられましたが、

大事には至りませんでした🫣

この一件からバックプロテクターが重要視され、

レーシングスーツに欠かせない存在となっていきました!

 

また時はさかのぼり1988年。

さらなるプロテクション強化をもくろみ、

新たな要素がダイネーゼのスーツに組み込まれます。

その試みは意外な副産物を持っていました...

左右の画像を見比べてみてください🤔

赤の円で囲った部分に大きな違いが見られます。

なぜこのような盛り上がり(ハンプ)をつけたのか?

当初の目的は前項のバックプロテクターで

カバーできない頸椎を守るプロテクションをつける!

という目的でした。

それで前述の意外な副産物とは何なのか...?

詰まるところ"空力"でした😲

今でこそバイクにウィングがついたりと、

空力性能を重視した設計になっておりますが、

当時は「とりあえずカウルの中に潜り込んでおけばOK」

という初歩的なものでした。

その時はヘルメットの後頭部で乱気流が発生し、

それが影響して頭が左右に大きくブルブルと

揺れることに気づいておりませんでした🤔

乱気流による強い揺れをライダーは首の筋肉で

ガチッと支えなければなりません😥

ハンプを導入したことにより、

「...いつもよりヘルメットが安定している?」

とライダーから意外なフィードバックがあり、

1990年代に風洞実験を重ね、

短く低かったハンプが背中の中間ぐらいまで

延長され、ヘルメットと合わせて滑らかな

軌道を描く高さに再設計され、

今の形になっております👏

プロテクション・空力特性、

ハンプの役割はこれだけにとどまりません!

この逆半円錐状のスペースに飲料水を入れられる、

ハイドレーションシステムが隠されております😲

ホースでヘルメットに接続することで、

走行中に水分補給することができます👏

もう1つハンプには重要な役割があるのですが、

それは次項のお話で...👌

 

1995年、ダイネーゼはあることを閃きます💡

「バイクライダーのためのエアバッグを作ろう!」

確かにレーサーにとってケガは症状は軽くても

1レース休めばほかのレーサーに後れを取ります😥

それだけでなく、

ケガが原因で引退に追い込まれた選手も多くいます...

ダイネーゼはより多くのレーサーを守るべく、

ワイヤーを引き金に使ったものよりレスポンスが早い、

ワイヤレスのエアバッグ開発に乗り出したのです😢

企画、開発、実地試験が直ちに行われ、

そこからエンジニア・ライダー

セーフティーアドバイザーだけでなく、

複数の医師も研究開発に加わりました!

試作品のエアバッグはヘルメットに内蔵されており、

今のモデルとは全く違いますね🤔

2006年に改良されたモデルがアドリア・サーキットで

行われたスタントテストを無事にパスして、

翌年2007年バレンシアGPで実戦投入👏

見事にエアバッグが展開し転倒から

ライダーを守りました👍

しかし、ここからももっと改善できないか?

ということで更に研究開発が進みます。

より速く展開し、より高精度にライダーの動きを検知し、

なによりもスーツの外で展開するのではなく、

スーツの内側で展開するスマートなシルエットへ...

そうです!

これが前項のハンプのもう1つの重要な役割である、

エアバッグシステムの収納スペース😲

外側からガスジェネレーター、GPSセンサー、

加速度センサー、ジャイロセンサー、

バッテリーが入っており、全体をスリムに

まとめることに成功しています👏

最初はパンパンに膨らんでいたエアバッグですが、

さらなる技術研究の成果により、コンパクト化。

サーキットで負う防ぎにくいケガはどこなのか?

このテーマに沿って過去のクラッシュデータを解析。

人間工学に基づいてバイク上での運動の妨げとなる

防護範囲の取捨選択を行った結果、

肩・首回り・鎖骨の3ヶ所に絞られました😲

ダイネーゼはエアバッグの中身にもこだわります😲

一般的なエアバッグは言わば"風船"

しかしピンポイントでの衝撃に物凄く弱く、

エアバッグをかわしてダメージを受けてしまいます😥

そこでD-airはエアバッグ内に強靭なフィラメントを

無数に張り巡らせ、膨らむ厚さを5cmに制限😲

これによりピンポイントに衝撃が当たっても、

衝撃を受けていない部分が5cm以上膨らまないので、

結果、ダメージが伝わらないという発明をしました👍

さらにダイネーゼは2018年のMotoGPクラスの

エアバッグ義務化に向けて、メーカー間を超えて

このD-airを導入できる、「D-Air Armor」

というオープンプラットフォームを開発し、

現在も他ブランドに供給をしております👏

(写真左にはD-air by DAINESEの文字があります)

 

そして2023年現在もD-airの進化は続いています!

今までエアバッグが展開すると、その度にエアバッグと

ガスジェネレーターの交換が必要でした...

2023年に発表されたモデルに驚きました😲

なんと新しいD-airは3回まで展開できるようになり、

赤い円でマークしたガスカートリッジの交換だけで

すぐに使えるようになりました👏

研究と改良を続けたダイネーゼが今年送り出した

新しいMUGELLO 3 LEATHER SUITの重量は

わずか5.5kgで、以前のモデルより1kg軽いです👏

この5.5kgの数値は全メーカーのエアバッグを搭載した

レーシングスーツの中で1番軽量なのです😲

そのほかにも快適性・安全性・運動性を向上させる

テクノロジーが惜しみなく投入されています!

この最新のスーツにはダイネーゼが今まで進化してきた

全てといっても過言ではございません!

いち早く問題に気づき、研究を重ね、

常に改良・進化し続け、基礎を築く...。

これは並大抵のことではございません😣

これもダイネーゼの「ライダーを守りたい」という

熱い思いがそうさせてきたのだと感じます。

今、この時間も研究を続けているダイネーゼが

また1つ、新たな基礎を築くでしょう。

 

それでは次のブログでお会いしましょう!
Arrivederci~🏍️

Tags: モーターサイクル, レザースーツ, スライダー, レザー製品, 特許技術, スポーツ, サーキット, ダイネーゼ, レーシングスーツ, ツナギ, 革ツナギ, スタッフインプレ

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