D-air®の仕組みを知ることで、ダイネーゼのエアバッグの特徴がお分かりいただけることでしょう。
D-air®には大きく分けて「Racing」と「Road」の2つのシステムがあります。 これはそれぞれ、何が違うのか?どのように機能しているのか?
D-air®の仕組みについてひとつずつ丁寧に解説します。
D-air® 仕組みと概要
D-air® の内部には、25年にわたる研究と200万km以上の走行データが蓄積されており、これが他に類を見ない、正確で安全な起動を可能にしています。
200万kmの走行データには身体の動き、加速度、角度が総合的に記録され、事故が起こる状況を自動的に察知し、ライダーを保護するために起動します。
まずはじめにレース用「D-air® Racing」と、ストリート用「D-air® Road」は仕組みが異なります。これは、危険とされる動きや、周囲の障害物の影響が全く違うためです。
例えばサーキットでは、停車時に、後方から衝突されることを考える必要はありません。D-air® Racing搭載モデルはサーキットでのみ使用し、D-air® Road搭載モデルはストリートでのみ使用するようにしましょう。それぞれ異なる環境で使った場合には、正しく機能しない可能性もありますので注意が必要です。
D-air® Racing と Road の共通点について
個々の特徴を見ていくまえに、まずは共通点について解説します。これはD-air®全体の特徴であり、どのタイプのモデルも同じです。
(共通) GPS、センサーによる動きの解析
ダイネーゼのエアバッグは完全なワイヤレス式であり、ご自身のバイクとの連結は一切必要としません。ケーブルでつなぐこともありません。内蔵されたシステム部分には、「3つの傾斜センサー」「3つの加速度センサー」「GPS」と計7つのセンサーが含まれており、ライダーの体の動きを毎秒1000回モニタリングしています。
傾斜センサーはバンク角などを、加速度センサーは衝突した際の急な減速を感知しています。そして、GPSがあることで、もっとも重要な正確な走行速度が解析され、D-air®が事故・転倒時の動きを瞬時に捉えて起動します。
なおGPSが届かないエリアを走行中であっても、途切れる直前の走行データを保持するため、トンネル内などでも安全に機能する仕組みになっています。
(共通) エアバッグの内部構造
エアバッグそのものは、いずれも同じ素材と、同じ構造です。もっとも重要なのは、すべての面が均一に約5cm膨らむことで、安全性にかたよりがないという点です。
この動画では、左が他社製のエアバッグ、右がダイネーゼのエアバッグです。特許取得済みの糸のような繊維(マイクロフィラメント)が張り巡らされていることで、ガスが充満した際に、エアバッグの形状を一定に保つ構造をご覧頂けるかと思います。
左の構造の場合、衝撃が加わる場所によって厚みが異なるため、吸収能力が一定ではありませんが、ダイネーゼのエアバッグは、どの場所も一定の厚み = 衝撃吸収能力も一定です。
クルマ用に代表される一般的なエアバッグと D-air® の違いは大きく、マイクロフィラメント技術を使用していないエアバッグでは、内部の空気の流れを制御することができないため、均一には膨らみません。マイクロフィラメントにフォーカスした動画は、以下がわかりやすいでしょう。
従来のクルマ用で使われている"膨らむ"エアバッグは、ドライバーの顔などがあたることが想定され、風船のような構造です。しかしバイク用に採用されるべきエアバッグは、障害物の衝撃から身体を守る、ハードプロテクターとしての要素が求められます。
エアバッグの内圧は、モデルによって1.25~1.75気圧の間で変化します。ダイネーゼでは、これほどの圧力があって初めて、保護するのに十分であると考えています。
D-air® Racingの肩のプロテクションで、従来(※1)の94%もの衝撃をカット。
D-air® Roadの背中のプロテクションで、一般のバックプロテクター(※2)、7個分相当の衝撃吸収能力があるなど、わかりやすく言えば、その「硬さ」は共通です。
※1欧州安全規格EN1621-1-2012 を基準
※2ダイネーゼ製Wave D1
D-air® Racing 独自の仕組み
それでは次に、D-air® Racing独自の仕組みを見ていきましょう。
エアバッグ起動のトリガー - Racing編
システムの中には、サーキット場内での動作、クラッシュの傾向がインプットされており、以下の2パターンの動きに反応します。
ハイサイド
"回転を伴う"ローサイド
サーキット用であるD-air®Racingは、ハイサイド、および回転を伴うローサイドを対象とする。
ローサイドについては、回転を伴う場合にのみ起動します。
身体が回転しない場合(ただ滑りながら、グラベルに達するなど)は障害物がないサーキットにおいて危険度が低いこともあり、起動することはありません。
また同様の理由で時速50km/h以下でも起動しない(※)仕組みです。これを可能にするのが、GPSによる正確な速度把握です。
※ヘアピンなど、高速からの急減速で直前にスピードが出ている場合は、50km/h以下でも起動する場合があります。
保護範囲 - Racing編
D-air® Racingは、鎖骨・肩・首周りを守るために特化したデザインであり、胸や背中は、従来のハードプロテクターで保護します。
小容量のため、完全に硬くなるまでの時間(インフレーションタイム)が短く済み、一瞬で最高強度を実現します。また省スペースかつ軽量な点も、サーキットにおいては重要です。
一部の上位モデルには、肋骨までカバーするエアバッグも付いている。
ダイネーゼでは、過去300回以上のクラッシュでも、鎖骨・肩の骨折がゼロだったという実績があります。サーキットで起きる激しいクラッシュでは、首周りをエアバッグで膨張させ、頭の動きを制限することで、致命傷を防ぎます。
D-air® Road 独自の仕組み
最後に、D-air® Road独自の仕組みを見ていきましょう。
エアバッグ起動のトリガー - Road編
システムには、ストリートでの動きやリスクがインプットされており、逆にサーキットの動きは含まれていません。D-air® Road が起動するのは、以下のケースです。
ハイサイド
ローサイド(回転を伴う、伴わないかかわらず全て)
アイドリング停車中の360°からの衝突
クルマやガードレールなど、障害物との正面衝突(45°~135°の範囲でもっとも有効)
障害物が多いストリート向けD-air®Roadは、ハイサイド、ローサイド(回転するしないにかかわらず)のみではなく、衝突にも対応する。
街中やツーリング先では、対向車などサーキット以上に危険な状況が考えられるため、様々な動きに対応します。
特に注目したいのが、アイドリング停車中にも、バイクの振動を感知する状態であれば、衝突に反応するという点です。これは後ろからはもちろんですが、360°どの方向から衝突されても起動します。
またD-air® Racing が50km/h以上で起動するのに対し、D-air® Roadは時速10km/h以上で起動します。ストリートでは、低速走行時でも危険な状況が多いためです。この時速10km/hがどのようなときに役に立つのか、については、振動がない電動スクーター、振動が少ない車両が考えられます。
アイドリングによる振動を感知することができれば、時速0km/h~すべての状態で保護されますが、振動が無い、または軽微な場合はアイドリングを感知することができません。そのようなケースでは、時速10km/h以上になった時が"アームド"状態となります。これには正確に速度を感知するGPSが役に立ちます。
※アームド ... スタンバイが完了し、D-air®がいつでも衝撃に対して反応できる状態。
保護範囲 - Road編
障害物や対向車があるため、致命傷の第2位である、胸部を中心に保護する目的があります。そのためより広範囲であることが特徴です。
ジャケット内蔵型の場合は、肩から鎖骨~胸全体をカバーし、背中は従来のハードプロテクターで保護します。
ベスト型の場合は、背中の全面と、肩から鎖骨~胸全体をカバーし、胴の全てをエアバッグで保護します。
取得済みのモーターサイクル用エアバッグの欧州安全認証については、以下の通りです。
胸部については、DOLOMITICERT procedural guideline (2016/425) - EN 1621-4 CC Level.2を、背部については、DOLOMITICERT procedural guideline (2016/425) - EN 1621-4 CB Level.2を取得しています。
この安全性能をわかりやすく表現すると、たった5cmのD-air® Road エアバッグで、従来の背中用ハードプロテクター x 7枚分,胸用ハードプロテクターx 8枚分の効果があるのです。
またこのように、一般のユーザーの皆様に公平な情報を提供できるように、ダイネーゼは自社ではなく第三者機関によるテストを行っております。
現在、ダイネーゼ埼玉三郷店では下記の最新型D-AIR搭載モデルをご用意しております。
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MISANO 3 PERF. D-AIR® 1PC LEATHER SUIT
最先端のDainese D-AIR®エアバッグシステムを搭載したレーシングスーツ。D-skin 2.0フルグレインカウハイドレザー、自由度の高い動きを可能にするPENTAXIAL弾性システムにより、軽量で高機能なモデルに仕上がっています。また、エアバッグ本体が最大3回の起爆まで繰り返し利用可能なTriple-Activation D-air®Racing エアバッグを搭載しています。 ※別途ジェネレーター(ガス発生器本体)の交換が必要です。
※価格や仕様は予告なく変更される場合があります。最新情報はダイネーゼAGVジャパン公式サイトをご覧ください。
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SMART AIR
Smart Airは、最大3回まで起動可能なエアバッグを装備した、新しいD-air®ファミリー。万が一の起動時には、ご自身でガスジェネレーター(別売)の交換が可能です。 欧州の安全認証EN1621-4を、エアバッグ単体(※)で胸部・背中ともに取得しており、安全性と汎用性に優れたモデルです。
※価格や仕様は予告なく変更される場合があります。最新情報はダイネーゼAGVジャパン公式サイトをご覧ください。
どちらもご覧いただき、ご試着いただくことができます。世界最高峰の安全性能をもったダイネーゼのバイク用ワイヤレスエアバッグ「D-air®」を是非店頭にて体感してくださいませ。皆様の御来店をお待ち申し上げております。