「レザーパンツって上級者向け?」「夏は暑くて履けないし、街乗りにはゴツすぎる?」
そんなイメージをお持ちの方にこそ読んでいただきたいのが、この記事です。バイク用レザーパンツは、確かにプロライダーやスポーツ走行に特化したイメージが強いアイテム。
しかし実際は、通気性や柔軟性が大きく進化したモデルも多く、ツーリングや街乗りにも適したバリエーションが広がっています。
素材の種類や防護性能の違い、季節ごとの使い分け、さらには安全規格まで、初めて購入を検討する方にもわかりやすく解説。
実際の着用アイデアや「実はレザーのほうが夏に快適なこともある」といった意外な事実にも触れながら、バイクライフに欠かせないレザーパンツの魅力をプロの視点で紹介します。
バイク用レザーパンツの目的と基本機能
レザーパンツは、単なるファッションアイテムではなく、「事故時の摩擦・衝撃からライダーを守る」という目的で作られています。特にサーキットやワインディングなど、高リスクのライディングにおいては不可欠な装備のひとつです。
主な機能には以下のものが含まれます:
- 耐摩耗性:滑走時に路面との摩擦に耐える性能
- 衝撃吸収性:ヒップや膝部に配置されたプロテクターによる防護
- フィット感:ライディングポジションを意識した立体裁断とストレッチパネル
欧州規格CE(EN 17092)に準拠した製品であれば、一定の安全性が保証されており、Level 2のプロテクター搭載モデルは特に高い保護性能を備えています。
参考:【CE規格】バイク用プロテクターの安全認証について徹底解説。事前チェックすべきポイントとは?
まとめると「フィット感よく、安全性も高く、質感や所有感、スタイルも良い」がレザーパンツであり、多くのライダーを魅了するアイテムと言えるでしょう。
レザーの種類と特性 – 牛革、カンガルー革、人工皮革
レザーパンツに使われる革素材には主に3種がありますが、カンガルー革は、同等の厚みであれば牛革よりも引き裂き強度が高いとされ、MotoGPライダーも好んで使用するほどの信頼性があります。
がしかし、価格や(長期間使用の)耐久性の面からほとんど見かけません。
人工皮革は時折見かけますが、価格面のメリットは魅力的ですが、やはり強度および経年劣化の面からおすすめはできません。
耐久性とコストのバランスが良く、コーティングや仕上げ次第で様々な質感と安全性が実現する、一般的な牛革のレザーパンツは最良の選択肢と言えるでしょう。
シーズン別の選び方 - 誤解されがちな夏のレザー
現在では、夏場にも快適に履ける工夫が施されたモデルが数多く登場しています。

「夏にレザーなんて無理」というのは、過去の常識...になるカモ?
夏向けモデルの特徴
- パンチング加工(通気穴・パーフォレイテッド加工とも呼び、ダイネーゼでは"Perf."と略された名称がついている)。
- メッシュや通気性に優れたナイロンファブリックとのハイブリッド(選択可能なウォッシャブルレザー等との組み合わせがメジャー)。
- 吸汗・速乾・抗菌加工されたサニタイズドインナーが内側についている。
夏におすすめしたい理由は、最後のトピック "最初の1着におすすめしたい、レザーパンツの理想のスタイル「PONY(ポニー)」" までジャンプ(ここをクリック)。
冬場の対応策
一方、冬用モデルには防風ライナーやサーマルインナーが付属するタイプもありますが、総じて「保温性に優れたアンダーウェアを、別途購入して組み合わせる」使い方が一般的かと思います。
実はレザー本体は風をほとんど通しませんが、革自体が冷えてきます。すると内部の空気も冷え、下半身の冷え・パフォーマンスの低下につながります。
そこで保温性に優れたアンダーウェアを組み合わせることで、風をシャットアウトしつつ、内部を身体の熱で温め保温する。この2つの効果が快適な冬のライディングのコツなのです。
安全性と規格 - パンツおよびプロテクターの安全認証
バイク用レザーパンツの大きな特徴は、安全規格に準拠したプロテクション機能が組み込まれている点です。
EN 17092:2020(AAA - AA - A - B - C)の分類
これは「レザーパンツ自体の」安全認証です。
規格に応じて試験内容の基準は異なりますが、主には「引き裂き強度」「衝撃に対しての摩擦強度」「縫い目およびファスナー部分の強度」、つまりはジャケット等の本体の素材や縫製が試験の対象になっている安全基準です。
ダイネーゼの製品もこの基準を元に「AAA~A」に分かれており(B以下はほぼ無い)、レザーパンツのほとんどは「AAA~AA」といった最高ランク級の安全認証を取得しています。
EN1621-1:肩・肘・膝等
これは「膝プロテクター」の衝撃吸収性能を測る規格です。バイク事故の衝撃から、該当の部位を守る目的で、衝撃の吸収性能が一定以上であることが求められます。
多くのレザーパンツには「膝プロテクター」がついているはずですから、そのプロテクターが本当に安全なものかどうか、認証を取得しているか、をチェックしましょう。
使用シーン別のおすすめスタイル
街乗り・ツーリング
スリムカットでシンプルなデザインのレザーパンツ。
カジュアルな、デニム風加工のシンセティックレザー。
ワインディング・スポーツ走行
CE Level 2プロテクター付き、スライダー装着可のスポーツモデル。
レーシングブーツとの連結ができるパンツ。
高速道路・ロングライド
着脱ライナーや抗菌防臭のサニダイズド加工がされた、オールシーズン型。
ヒップ周り & 膝にガードの付いた長時間走行向きモデル。
このように、用途や走行スタイルに応じて選択肢も広がってます。レザーパンツ=サーキット用というイメージではなく、「シーズンにあわせてた選択で、幅広く使えるもの」と考えることができるでしょう。
最初の1着におすすめしたい、レザーパンツの理想のスタイル「PONY(ポニー)」
長距離ツーリングでは排熱が当たる箇所を低温やけどしてしまったり赤く腫れてしまった...。という声も多く聞きます。そこで夏の排熱対策の1つとしてレザーパンツをお勧めしてます。実はレザーパンツは真夏のオートバイの排熱対策に有効的なのです。

私もSSに乗っているのでそのお気持ちはよくわかります!
レザーは通常のデニム生地に比べ熱伝導率が低い為、長距離ツーリングでも低温やけどの防止にも繋がります。

PONY 3 LEATHER PANTS
レザーの持つ安全性と快適性が、毎日のライディングの課題を乗り越えて行く自信を与えてくれます。Tutuレザー製で、認証を得たヒッププロテクターが付いており、膝のハードタイプのプロテクターは外側のファスナーで調節・取り外しが可能。
※価格や仕様は予告なく変更される場合があります。最新情報はダイネーゼAGVジャパン公式サイトをご覧ください。
PONY 3は日々のツーリングをより快適に、安全を実現するために開発されたレザーパンツです。レザーはダイネーゼならではのTUTUレザー(牛革)を使用。優れた耐久性、摩擦強度を兼ね備えています。
では実際にバイクに乗ると・・・

シンプルかつスタイリッシュなデザインなのでどんなオートバイでも合わせやすそうですね。
写真の車体は私の愛車であるYZF-R1'98ですが、ニーグリップをすると丁度膝の先端がフレームに当たり、膝辺りを低温やけどしてしまう時がございました。
しかしPONY 3では膝部分はレザーでできている為、フレームの熱から身体を守ってくれます。
オートバイの排熱で一番多くの声が上がるのはフレームに当たる太ももと膝部分。PONY 3では太ももと膝部分はレザーを使用しているため、排熱対策に有効的です。
また、V型エンジンに多い股裏部分もしっかりとレザーを使用しておりますので、エンジン形式を問わず真夏の熱い排熱対策にお勧めです。

ここで一つレザーパンツ関する豆知識をご紹介
特にシートの高いSS系バイクにお乗りの方で、レザーパンツ着用時にオートバイに跨りにくいと感じた方は多いのではないでしょうか。
実際にデニム生地のパンツと比べるとレザーパンツは股の開きが狭まるので跨りにくくなります。デニムと同じ感覚で跨ろうと思ったら、予想以上に脚が上がらず、ダンデムシート付近にぶつけて傷が入ってしまった...なんて経験ある方もいるのではないでしょうか。
コツと致しましてはハンドルに手を添え、上半身を車体に被せるようにし、脚を曲げて膝を滑りこませるようにすると脚が上がりやすくなり非常に跨りやすくなります。
まとめ
レザーパンツは「安全・快適・長寿命」という三拍子を備えた装備品であり、正しく選び、使い、メンテナンスすればシーズンを問わず活用できる優れたバイクウェアです。
素材の違いや機能性、安全規格など、知っておきたい基本情報を押さえたうえで、自分の走行スタイルにあった一本を見つけてください。
快適性も妥協せず、かつ自分の身体をしっかり守ってくれるレザーパンツは、バイクライフをより安心でスタイリッシュなものにしてくれるはずです。