バイク用プロテクターの安全認証規格についてのご紹介【CE認証】

作成日 2023年3月18日
By 永濱(ナガハマ)

今回は安全認証規格であるCE認証ついてのお話をいたします。

ダイネーゼではブログなどでよく記述をしていますが、詳細をご存じではないという方もいらっしゃると思います。
最近は幅広い年齢層でバイクの免許を新しく取得されるという方も多く、
ダイネーゼ福岡店としても初心に戻って、このCE認証について基本的なことを改めてご紹介いたします。

今回は文字ばかりで少し退屈かもしれませんが、、今後のバイクウェアの選び方、安全性の判断としてご参考頂ければ幸いです。
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まずCE認証についてのご紹介です。

CE認証の、CEとはフランス語のConformité Européenneの頭文字で、
意味としては"ヨーロッパの適合性"です。
CE認証の他にはCEマークやCEマーキングと表現されます。
スクリーンショット (11)

ヨーロッパの適合性ということで、基本的には欧州のEU加盟国に適応される認証基準です。
(その他の国など厳密には細かいので割愛させていただきます。。)

そのCE認証が必要とされる地域では、
流通する多くの製品にCE認証、マーキングが義務付けられています。
対象品目は家電や医療機器、化学薬品、化粧品、玩具などなどとほとんどのあらゆる製品が対象で、
その中にオートバイライダー用があります。
スクリーンショット (1)

日本国内向けの製品については、CE認証の適応される地域へ輸出をする際には、
必要な安全基準などを満たしている必要があり、その証明としてCE認証の対応が義務付けられています。
そしてCEマークを行うことなく、対象地域へ流通した場合には罰則規定がある厳格な認証規格です。

 


先述の通り、CE認証にはオートバイライダー用のカテゴリがあり、
厳しい安全基準とさらには細かく部位や製品等が設けられています。

プロテクターだけでも、以下のように細かく定められています。

・EN1621-1【肩肘など】
・EN1621-2【背中】
・EN1621-3【胸】
・EN1621-4【エアバッグ】
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それぞれに必要な基準が設けられており、主な内容としては衝撃吸収能力です。
衝撃吸収能力とは、外部からの衝撃をプロテクターがどれだけ吸収、体に伝えないか、という性能です。

試験ではプロテクターを置き、上部から50ジュールの衝撃を加えて、
下(体側)にどれだけ衝撃が伝わったか、という試験を行い、数字が小さいほど体への衝撃が小さいことになります。
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・EN1621-1:レベル1 35KN レベル2 20KN
・EN1621-2:レベル1 18KN レベル2 9KN
・EN1621-3:レベル1 18KN レベル2 18KN
・EN1621-4:レベル1 4.5KN レベル2 2.5KN
(胸の"EN1621-3"のみ衝撃の緩和に合わせて、分配もあり数値以上に厳しい基準が設けられています。)
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その他にもプロテクターの面積や性別、気温などと非常に多くの厳しい基準があり、さらにはプロテクターに限らずジャケットやパンツなどのウェア本体にもCE認証の基準はあります。

・prEN17092-1~6
規格に応じて試験内容の基準は異なりますが、
主には「引き裂き強度」「衝撃に対しての摩擦強度」「縫い目およびファスナー部分の強度」です。
つまりはジャケット等の本体の素材や縫製が試験の対象になっているという事です。

他にも試験を行い、これらを満たすことでただのバイクウェアではなく、
安全認証を得たオートバイライダー用保護ウェアとしてのご案内が出来るようになります。
(CE認証のプロテクターを装備したジャケットとは全く異なります。)

レザージャケットに限らず、カジュアルコレクションとして人気のテキスタイルジャケットも厳密には保護用ウェアです。
ジャケットへ縫い付けられたタグにオートバイライダー用保護ウェアの証明のCE認証があります。
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その他にもグローブやブーツなどの様々なモデルに認証規格が存在し、
ライダーの安全に関わるものには基本的にCE認証があります。

 


なぜダイネーゼではこのCE認証という言葉が度々登場するのかのご紹介です。

ダイネーゼとしてこれらのCE認証は必ず基準を満たすようにしています。
もちろんイタリアのメーカーのため、CE認証が無ければ自国のEU圏で販売が出来ないという事もありますが、
しかしそれ以上に、"ユーザーをミスリードしない"という事をとても大事に徹底しています。
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店頭にいる私たちが「このプロテクター、ジャケットは安全ですよ」という案内に対してユーザーである皆様はその言葉を信じるしかないと思います。
そこでこのCE認証がある事、CEが第三者として裏付けされた安全性となるのです。

例えば、皆様が企業の採用担当だった時に、
受験者が「英語が話せます!」と言ってもそれだけのことだと思いますが、
「TOEICで900点取りました!」となればその発言に信憑性が生まれ、こういった取り組みを重要視されると思います。

この場合、ダイネーゼが受験者で、ユーザーである皆様が採用担当、
そしてCE認証がTOEICという事になるのです。

実は、私自身もダイネーゼ製品を見るときはCE認証を参考にしています。
毎年新作がラインナップされますが、これは大丈夫なのかな?と思う事がたまにあります。
その時にはすぐに商品のタグを見てCEマークを探し、規格からバイク用の基準を満たしていることを確認しています。
(同じCE認証でもバイク用としての適合が重要です。)
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私自身はCE認証が厳しい安全基準という事を理解しており、
CEマークがあれば間違いなくバイク用として安全な商品で、一スタッフとしても安心して皆様へお勧めできるためです。

 


ちなみに皆様はヘルメットを購入される際に、JISやSG等を参考にされていますか?
MFJやSHARP等の追加の認証はいらっしゃるとも思いますが、
おそらくヘルメット購入時に規格を参考にされている方は少ないように思います。

それはSG等のヘルメットに関しての規格では、
基本的にその適合品のみが店頭に並ぶように法律上なっているので気にする必要が無いのです。
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そして残念ながら今の日本にはプロテクター等では安全基準がない事が実情です。
(ほんの一部のプロテクターにはありますが、ほとんどでありません。)
ヘルメットとは異なり何も基準もなく様々な商品が世に出回り、判断が各個人や企業に委ねられているという状況です。

全日本選手権レースなどを主催しているMFJ(日本モーターサイクルスポーツ協会)においては、
以前まではレースに適合するプロテクターの基準を独自に有していましたが、2021年からCE認証の適合品へ変更されました。
MFJや世界のレース界ではここ数年で特にエアバッグの義務化などライダーの安全を守る様々な動きが加速しています。
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今の日本では当たり前で法律で決められているヘルメットが着用義務になったのは1986年からです。
(原付も含めたすべてのバイク、すべての道路でヘルメット着用)
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公道はサーキットとは異なり、法律の改定等や難しい事情から時間が掛かることも多々あるとは思います。
その為、最終的には各々が見極めることが非常に重要かと思い今回のご紹介でした。
とてもとても長い長いご紹介になってしまいましたが、最後までありがとうございます。
これからバイクウェアをお探しの方のご参考になれば嬉しい限りです。

少しでも興味を持たれた方はお持ちのプロテクターやウェア等にCEマークがついているのか探してみてください。
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Tags: D-air®(エアバッグ), プロテクター

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