【バイク用エアバッグ】ワイヤレス式システム「D-air®」搭載ベストなら、ジャケットの中にも外にも着れる。

作成日 2023年9月16日 | 最終更新日 2024年10月29日
By 坂井(サカイ)

2022年12月より、ダイネーゼのバイク用エアバック「Smart Jacket」が警視庁の交通機動隊(白バイ隊員)に正式採用されました。

安全意識が高まっている昨今、バイク用エアバッグは事故の際に致命的な怪我を防ぐために非常に有効であり、この警視庁の採用は、日常的にバイクに乗るプロフェッショナルの方々もその必要性を認識していると言えるでしょう。

この記事では、エアバッグの概要と合わせてダイネーゼ製エアバッグベストの魅力を解説していきます。

バイク用エアバッグの必要性

バイクに乗ることは、自動車に比べてリスクが高いとされています。
事故発生時、バイクのライダーは、衝撃をそのまま体に受けてしまいます。二輪車の交通死亡事故統計(警視庁)よりによると、バイク事故での致命傷部位は、頭部+胸部で60%以上をしめています。

二輪車の交通死亡事故統計(警視庁)より出典 : 二輪車の交通死亡事故統計(警視庁)

ここで、エアバッグの導入が大きな役割を果たします。
頭部はもちろんヘルメットで守る以外にありませんが、胸部・背中をハードプロテクター以上の安全性で守るエアバッグは、衝突時の衝撃を分散、吸収し、内臓損傷や骨折のリスクを劇的に低減します。

ワイヤレス式エアバッグシステム「D-air®」搭載製品 image

ワイヤレス式エアバッグシステム「D-air®」搭載製品

6つのセンサーと1つのGPSが毎秒1000回ライダーの動きを解析。独自のアルゴリズムにより、事故の動きを精度高くキャッチ。瞬時に「背中プロテクター7枚分 / 胸プロテクター8枚分」の強度のエアバッグを展開します。

※価格や仕様は予告なく変更される場合があります。最新情報はダイネーゼAGVジャパン公式サイトをご覧ください。

 

エアバッグの作動メカニズム

バイク用エアバッグは一般に、ライダーが車や障害物と衝突するなど「事故と見なした動きをした」際に、瞬時に膨らんで体を守ります。

エアバッグシステムは通常、ジャケット等に内蔵されており、専用のセンサーがライダーの動きを監視しています。事故時には、このセンサー(またはケーブル式の場合はケーブルが抜けたことで物理的に)が衝撃や異常な動きを感知し、エアバッグが一瞬で膨らむというメカニズムです。

このエアバッグの膨らむ速度は非常に速く、事故の瞬間、衝突前にライダーの身体にフィットし、首や背中、胸部の大部分を覆うことで衝撃を吸収します。

動画でも是非見てみてくださいね!

 

エアバッグの種類と利点を理解する

現在マーケットに存在するバイク用エアバッグは、次のようなカテゴリにまとめられるでしょう。

  • ワイヤレス式
    エアバッグとバイクを接続する必要が無い、独立したタイプ。手軽に使える利点がある一方で、システムのアルゴリズムや精度の高さが求められます。

  • ワイヤー式
    バイクとエアバッグベストを物理的にワイヤーで接続するタイプ。手間や外し忘れのトラブルのデメリットがある一方で、物理的にワイヤーが外れれば開くという安心感と、システムやアルゴリズムが不要というメリットもあります。

他にも、バイク用エアバッグにはいくつかの利点があります。
特に重要なのは、以下の2つでしょう。

  • 致命的な怪我の予防
    エアバッグは、胸部や背部、首などの重要な部分を保護し、衝突時の衝撃を大幅に軽減する可能性をがあります。
    「可能性がある」というのは、モデルや製品によってエアバッグ本体の強度や安全認証、開くアルゴリズムの精度に違いがあるからです。

  • 装着の手軽さ
    エアバッグジャケットやベストは、日常的なライディングギアとほとんど変わらず、追加の装備として簡単に導入できます。
    エアバッグが無い車に搭載することは現実的ではないですが、バイクなら、ライダーが身に付ければ良いのです。
    最近では、軽量性を追求したモデルが増えてきていますので、日常的に使用することが可能です。

一方で、エアバッグには限界もあることも知っておきましょう。

例えば、非常に危険な衝突、事故において、確実に(つまり100%)身体を守るものではありません。また、通常のプロテクター(肩や肘など、エアバッグでは覆うことができないエリア)やヘルメットと併用することが重要であり、エアバッグだけで全てのリスクをカバーできるわけではありません。

エアバッグを全身開く仕様にすることはできるかもしれませんが、そのためには非常に重く、バルキーな商品デザインになってしまい、誰も着たくはないでしょう。

「自然に身に着けることができる」デザインと、その上で「最も重要とされる箇所を守る」ことが大切だと思います。

バイク用エアバッグ比較検討時の、チェックリスト(ランキング)

バイク用エアバッグシステムSmart Jacket (3)

では、各社から発売されているバイク用エアバッグを検討する場合、何を基準にすればよいのでしょうか?

もちろん「安全性」「予算」「軽さ」「デザイン」などライダーによって好みは様々ですが、ここでは、ダイネーゼスタッフが考える「バイク用エアバッグを選ぶときに重要なポイント」をランキング式でまとめておきたいと思います。

第1位 エアバッグ用 CE安全認証を確認する

最も大事なことは「安全であること」だと考えます。安全・プロテクション性能を求め購入したにもかかわらず、実は安全性が担保されていなかった...ということになると残念です。

そこで見ておきたい認証がいわゆるCE規格です。

エアバッグ用安全認証(胸)CE - EN1621-4

胸部に関する安全認証です。
通常のハードプロテクター用の安全認証はEN1621-"3"ですが、EN1621-4 であることを確認しましょう。

エアバッグ用安全認証(背中)CE - EN1621-4

背中に関する安全認証です。
通常のハードプロテクター用の安全認証はEN1621-"2"ですが、EN1621-4 であることを確認しましょう。

この「-4」はハードプロテクター用の認証より大幅に厳しいものとなっており、胸・背中共に、さらにLevel.1とLevel.2に分かれています。

この安全基準がない場合、欧州では「プロテクターとは認められていない」ことになります。
つまり認証を受けていないエアバッグ(胸・背中それぞれ別)があれば、それはプロテクターではなく、単にふくらむ風船ということになります。

もちろん何もないよりは、あった方が衝撃は抑えられるに違いはありません。
しかし、安全なものを身に着ける、ことを目的に購入するのであれば、第三者(認証機関)から認められたものを選ぶことをおすすめするとともに、これが第1位のチェックポイントだと思います。

なお背中については、「ハードプロテクターとセットで認証を取得している」場合や「ハードプロテクターのみ認証(つまり、EN1621-"2"の認証)」である場合もありますので、どのような組み合わせで取得されているかも確認してみましょう。

第2位 エアバッグの起動条件を確認する

次に注目したいのは、エアバッグの起動条件です。

「起動するスピード」などわかりやすい点に目が行きがちですが、ダイネーゼストアでは皆様に、「起動するスピードよりも、条件」をお伝えしています。スピードがいくらはやくても、事故を認識する精度が高く、起動条件が豊富でないと意味がありません。

次に事故のパターンをまとめていますので、検討の際のチェックポイントに加えておきましょう。

正面衝突

正面衝突は最もわかりやすい事故であり、事前の製品試験でも用いられることが多いでしょう。
静止物に対してぶつかってしまった時に、それを認識できるかどうかを考えます。またその時の進入角度やスピードの制限など。

後方または周囲からの追突

ライダー自身が停車中であり、他の車が追突してくるパターンです。
後ろから、右から、360°など、その時にライダーが受ける衝撃や加速度を感知し、即起動させることができる仕組みかどうかを考えます。

ローサイド(スリップダウン)

これも良くある事故の例でしょう。ツーリング中のカーブなどでグリップを失い、そのまま滑って転倒してしまうパターンです。このような事故時のライダーの動きは、前の2種類とは異なります。スリップダウンに対応しているかどうかも確認します。

ハイサイド

カーブや加速中にリアタイヤがスリップし、その後急にグリップを取り戻すことで、ライダーがバイクの上に放り出されてしまう非常に危険なタイプの事故です。特に、リアタイヤのスリップが大きく、急激にバイクが立ち上がることで発生します。
あまり経験することは無いかもしれませんが、サーキット走行や、ワインディングでアクティブな走りを楽しんでいる際には起こりえますから、これに対応しているかどうか。

またこのチェックポイントの最後に、「これらの動きを何で感知しているか」も気にとめておきましょう。ダイネーゼのD-airシステムは、3つの加速度センサー、3つの傾斜センサーに加え、GPSによる正確な走行速度データも組みあわせて判断しています。

第3位 使いやすさ・使用目的に合うかを確認

ダイネーゼ(イタリア)がまとめたアンケートによると、約70%のユーザーが「快適性」に関する理由を元にエアバッグベストを選ばない、と答えたようです。
※快適性とは、暑すぎる・重すぎる・ゴツすぎる...など複数の理由。

このブログをお読みの皆さんも「安全なのはわかるけど、着ると暑いし」「重いし」という理由で避けていませんでしょうか?

重さ(製品重量)

軽いに越したことはありません。製品重量をチェックしておきましょう。

中に着るか、外に着るか

ジャケットの中に着るタイプか、外に着るタイプか、またはその両方か。これは使い方やスタイルに大きくかかわりますので、確認しておきましょう。

携帯性

バイクから降りたとき、どのように保管しますか?
持ち運ぶのは大変だと思いますが、バイクにどうやって置いておこうか?と考える方もいらっしゃるはず。ケースに収納できるか、バイクに置いても邪魔にならないか、バックパックに入るか、など想定しておきましょう。

防水・耐水性(雨天走行時)

雨天走行をすることも多い、というツーリングライダーなら、これもチェックしておきたいポイントです。防水性能はどの程度か。また、防水でない場合、ジャケット側が防水であれば問題無く使えるのか、などを確認します。

バッテリーの持ち時間

フル充電時に、何時間連続利用できるか、は確認しておきましょう。
こちらの項目は、同程度のバッテリーが使われていることも多いので、各社差は無いように感じます。

バイク用エアバッグシステムSmart Jacket (5)

ワイヤレス式エアバッグベスト Smart Jacket の魅力を解説

それでは、今までまとめてきたポイントを踏まえつつ、ダイネーゼのSmart Jacketの魅力に迫っていきましょう。

完全ワイヤレス式

Smart Jacketは、ワイヤレス式です。
車体とコードで接続する必要がありません。ジャケット本体に7つのセンサー(ジャイロセンサー6つとGPS)を搭載しており、アクシデントの際に身体の動きや追突・衝突等の衝撃を感知して展開する仕組みです。

完全利便性の高さ

エアバッグ以外のファブリックは通気性の良い素材を使用しており、防水・防塵設計です。また二つに折りたたむ事も可能ですので、持ち運びも便利です。

専用アプリを使用すれば「シッピングモード」という移送用モードも設定することもできますので、持ち運びの際に誤作動でエアバッグが開いてしまうようなアクシデントは、未然に防ぐ事ができます。

leather-3

エアバッグ用 CE安全認証

Smart Jacketは、下記2つの認証を取得しています。

  • (胸)CE - EN1621-4 Level.2
  • (背中)CE - EN1621-4 Level.1

これは、一般的なCE規格のハードプロテクターに換算すると、胸は約8枚分、背中は約7枚分の安全性能にあたります。いかにこのSmart Jacketに搭載されているエアバッグが硬質であるかお分かりいただけるのではないでしょうか。

バイク用エアバッグシステムSmart Jacket (1)

バイク用エアバッグシステムSmart Jacket (4)

その強度の要となっているのがダイネーゼが特許を取得したマイクロフィラメントという繊維素材です。エアバッグの表裏をつなぐように無数に張り巡らされたこの繊維があることで、ガスによって膨らんだSmart Jacketは押しても叩いても風船のように凹まない、硬い盾(シールド)となります。
また、風船のように膨らむわけではないので、エアバッグの内側で空気の移動が起こりません。その厚さは5㎝にもなります。

マイクロフィラメントの効果で均等に5㎝膨らむことにより、風船を押したときのような空気移動の余地をなくす事で、従来のプロテクターの何枚分もの強度を生み出しています。

実際に開くと石のように固くなり、ハンマーでたたいても、車やバイクが載ってもつぶせないほどです!

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360°方向の追突から守る、起動条件

バイク用エアバッグシステムSmart Jacket起動条件 (4)
バイク用エアバッグシステムSmart Jacket起動条件 (3)
バイク用エアバッグシステムSmart Jacket起動条件
バイク用エアバッグシステムSmart Jacket起動条件 (2)


Smart Jacketは、静止物への正面衝突、360°全方向からの追突、ローサイド、ハイサイド全ての動きに対応しており、瞬時にエアバッグを起動させるアルゴリズムを備えています。

バイク用エアバッグとしての信頼性

このSmart Jacketは、全国で最も多い保有台数を誇る東京都・警視庁の交通機動隊(白バイ隊員)に採用されました。厳しい使用条件に耐える信頼性が認められた結果と言えるでしょう。

厳しい使用条件に耐える

白バイ隊は、日常的に高い運動性能を要求される過酷な環境下でバイクを運転しています。悪天候や長時間のパトロール、緊急時の高速走行など、多岐にわたる状況での使用が想定されます。

製品が警視庁の白バイ隊に採用されるということは、これらの厳しい条件下での耐久性やパフォーマンスが、一定の基準・判断以上であると認められたからにほかなりません。

継続的なフィードバックによる品質向上

また過酷な日常的に蓄積されるフィードバックが、さらなる製品の改善につながります。
エアバッグの起動レポートは専用の修理・メンテナンス用アプリケーションにより集約され、次の開発へと生かされていきます。

これにより、製品は単に採用されるだけでなく、実践的な使用を通じて、信頼性が進化していくわけです。ダイネーゼストアでは、実戦の中でフィードバックが反映されているという点も、他の製品との差別化ポイントとして強調させて頂いています。

エアバッグ装備の普及と今後の展望

バイク用エアバッグの普及は、ここ数年で着実に進んできていると思います。

特に、MotoGPなどのモータースポーツのトップライダーが装着することで、その効果が広く知られるようになり、一般ライダーにも使用が広がっています。既にサーキット走行ではエアバッグ装備が規則上義務化される動きもあります。

今後、さらに技術が進化すれば、より高度なセンサーシステムや軽量化、コストの低下が期待され、バイクエアバッグの使用が一般的なものになっていくのではないでしょうか。

ダイネーゼストアでも、価格がやや高いことが普及の障害となっている話をお客様から伺いますが、安全性への投資と考えれば、その価値は非常に高いと自信をもってお伝えしております。

興味を持たれた方は是非、製品についての詳細はご確認ください。

ワイヤレス式エアバッグシステム「D-air®」搭載製品 image

ワイヤレス式エアバッグシステム「D-air®」搭載製品

6つのセンサーと1つのGPSが毎秒1000回ライダーの動きを解析。独自のアルゴリズムにより、事故の動きを精度高くキャッチ。瞬時に「背中プロテクター7枚分 / 胸プロテクター8枚分」の強度のエアバッグを展開します。

※価格や仕様は予告なく変更される場合があります。最新情報はダイネーゼAGVジャパン公式サイトをご覧ください。

 

Tags: ストリート・ロード, モーターサイクル, バイク用エアバッグ, 特許技術, ダイネーゼ

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