バイクに乗るとき、つい見落としがちな「シューズ」。特に夏場は「スニーカーで軽装になりがち」「プロテクター重視の革靴で蒸れて大変」な思いをされた方も多いと思います。
万が一の転倒時、足首やくるぶしは非常に損傷を受けやすい部位。
加えて、シフト操作やブレーキ操作といった足元の動作は、ツーリング中に何千回と繰り返される動作です。
そこで、適切なメッシュシューズを選ぶことで、疲労軽減や操作性の向上、気持ちの良いライディングにつながります。夏におすすめのバイクシューズの種類や選び方、安全面や快適性に関するポイントまで、わかりやすく解説します。
なぜ「バイク専用シューズ」が必要なのか?
まず初めに、バイク専用シューズを使用する、その理由について詳しく知っておきましょう。特にまだ装備を揃えきれていない初心者の方ほど、スニーカーで乗ってしまいがちですが、それが大きなリスクとなることがあります。
転倒時の足部保護
くるぶし(足首)のねんざ・骨折を防ぐ構造
転倒時、バイクが倒れた側の足が車体と地面に挟まれることは珍しくありません。
バイクシューズはこのくるぶし部分にインナープロテクター(通常はTPUやD3Oなどの耐衝撃素材)を内蔵しており、衝撃を吸収しつつ関節の可動域を最適化する設計になっています。
- スニーカー:布地のみでくるぶしは無防備
- バイクシューズ:補強材やパッドで打撲や骨折のリスクを軽減
特にミドルカット以上のシューズを選ぶことで、ねじれによる靭帯損傷などのリスクも抑えることができます。摩擦による「擦過傷(ロードラッシュ)」の防止にもつながります。
バイクの重みによる「圧迫」ダメージの回避
中型〜大型バイクは200〜300kgを超える重量があり、立ちごけであっても足にかかる負荷は甚大です。
バイクが倒れた際に足の上に車体が乗ってしまった場合、普通のスニーカーでは骨折や皮膚の裂傷につながる危険があります。
バイクシューズの剛性あるアウターと補強芯は、こうした圧迫衝撃を点ではなく面で分散するように設計されており、大きな損傷を未然に防ぎます。
転倒してからでは遅いので・・・是非早めに用意しておきましょう!
操作性と快適性の両立が、走りの質を変える
特に夏場は、気温や汗による不快感が増すうえ、通勤やツーリングなど長時間の運転になるケースも多く、操作性と快適性の両立こそが“快適なバイクライフ”の鍵といえます。
足元の操作性は「直感的なライディング」に直結する
バイクの基本操作の多くは「足」で行われますから、
- 左足:ギアチェンジ(シフトペダル)
- 右足:リアブレーキ
- 両足:ステップでの体重移動、バイクのホールド
この操作をスムーズに、かつ確実に行えるかどうか?を考えると、やはりライディングシューズですよね。
操作性を高める機能例
その理由を見ていきましょう。
-
シフトパッド(ギアチェンジ部の補強)
左足の甲にはギアチェンジの際に何百回とペダルが当たります。ここが補強されていないと、足が痛くなったり操作が曖昧になります。 -
足首の柔軟性と剛性のバランス
ブレーキ操作やステップワークでは足首の可動性が必要です。一方で、必要以上に曲がってしまうと不安定になります。
バイクシューズは可動域を限定しつつ、踏み込みやすい構造に設計されており、「必要な自由さ」と「必要な固定力」を両立しています。 -
フィット感の高い形状
ライディング専用に工夫と設計がされたシューズは、ソールやインナーソールも、フィッティングやグリップ力を考えられているモデルが多数あります。
ステップの上で、足がするすると動いてしまったら怖くないでしょうか?ブレーキ・ペダルの感触を足裏で的確に捉え、しっかり"握る"ことができるのが特徴です。
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夏に最適なバイクシューズの素材と機能
では次に、素材選びを見ていきましょう。快適性と安全性のバランスが重要です。
メッシュ+合成皮革:夏のバイクシューズに最適な組み合わせ
結論として、夏のバイク用メッシュシューズなら、「強度のあるナイロンメッシュ + 補強はレザー(合皮含む)」の組み合わせが最もお勧めです。
これは見た目の軽やかさだけでなく、夏に特化した理にかなった構造となっており、初心者にも安心しておすすめできる選択肢です。
メッシュ素材は涼しさと軽量性を支える中核素材
メッシュとは、網目状に織られた通気性の高い生地のことで、バイク用シューズでは主に甲部分やサイドパネルなどに使用されます。
- 高い通気性:走行中に風がシューズ内に入り、汗や熱を効率よく逃がすため蒸れにくい。
- 軽量:繊維密度が低く軽いため、長時間履いても疲れにくい。
- 柔軟性:足にフィットしやすく、動きの妨げにならない。
見た目だけでも、"涼しそう"とわかるのでいいですよね。
注意点
素材にもよりますが、このメッシュだけでシューズ全体を構成してしまうと、多くの場合耐久性や保護性能が低いため、補強素材と併用されているかをチェックしましょう。
牛革または合皮(シンセティックレザー):耐久性と保護性能を補完
合成皮革とは、ポリウレタンなどの素材を使って天然皮革の質感や強度を模した人工素材で、プロテクションが必要な部位(つま先、かかと、くるぶし周辺)に多く使われます。
革系の素材を組み合わせるメリットは?
- 耐摩耗性・耐衝撃性:転倒時の擦過傷や衝撃から足を守る。ナイロン製のメッシュ生地以上の安全性。
- 耐水性:合皮の場合は天然皮革より水を吸いにくく、突然の雨にも対応しやすい点が特徴です。ただ昨今、牛革(本革)でも事前の加工過程において、一定程度雨に打たれても耐えられる(劣化しにくい)ものも出てますから、よく商品を確認しておきましょう。
- コストパフォーマンス:合皮であれば、本革より安価かつメンテナンスが簡単であることが多いですね。
この2つが合わさることで得られるベストバランス
| 特徴 | メッシュ | 牛革 合皮 | 組み合わせたメリット |
| 通気性 | ◎ | △ | メインはメッシュにすることで通気性確保 |
| 軽さ | ◎ | 〇 | 疲れにくく、歩きやすい |
| 安全性 | △ | ◎ | 重要な箇所には革系の素材を使って、転倒時の安全性確保 |
| 耐久性 | △~〇 | ◎ | 日常使いでもできるタフネス |
| デザイン | 〇 | ◎ | スポーツ & カジュアルに使える |
このように、メッシュは快適性、合成皮革は安全性という特性を持ち、両者を適切に配置することで、夏場に最も適した一足が完成します。

ローカット・ハイカットの違いと選び方
ローカット:通気性と歩きやすさ重視
くるぶしまでの低いシューズは、通気性が良く街乗りや通勤などにも適しています。ただし、くるぶしのプロテクションは限定的なため、用途を選びます。
お好みにもよりますが、ファッション・スクーターを中心としたスタイル重視であれば良いと思いますが、安全を考えると、ダイネーゼとしては下記のハイカットタイプをお選びいただきたいところですね。
ハイカット:安全性最重視
ハイカットのバイクシューズは、足首までしっかりと覆う構造を持っており、安全性を重視するライダーにとってはお勧めのコレクションです。
※ハイカット、と言っても「くるぶしまでしっかり守っているかどうか」程度の高さです。それ以上だと「ブーツ」のカテゴリになってしまいます。
特にツーリングやワインディング、高速道路の走行など、転倒時のリスクが比較的高まるシーンでは、足首が守られていることが、安心感につながります。
また、転倒時にバイクが足に倒れ込んだ場合、ハイカットの高さと硬めの構造が、くるぶしやアキレス腱周辺への直接的な衝撃を緩和し、ねじれや強打による損傷・骨折を防ぐ効果を発揮します。
ハイカットモデルの多くは、内部にくるぶし用のパッドやハードプロテクターを搭載してますから、CE認証を取得したモデルであれば、安全基準を満たした素材や構造で設計されているため、信頼性も高い点も特徴ですね。
外観からして「ライディング専用感」が強いため、街乗りで使うには抵抗があると感じる方もいるかもしれませんが、安全性を最重視するならむしろ積極的に選ぶべきカテゴリと考えておきましょう。
CE規格とプロテクション:安全性の見極め方
ヨーロッパで制定された「CE規格(EN13634)」は、バイク用フットウェアに求められる安全性を評価する指標です。
ダイネーゼが現在発売するシューズコレクションは、全てこれらの試験をパスしています。
EN13634の主な基準
- 衝撃"摩耗"性能:
アスファルト上での靴の摩耗をシミュレートする。 - 衝撃"切断"耐性:
2.8m/sの速度で刃物をサンプル(常に完成品を模したもので、材料の組成となる)に落とし、貫通する深さをmm単位でチェックする。 - 横方向の剛性(ねじれに対する強さ):
シューズ靴やブーツをプレス機にかけて横方向に押し潰し、荷重がかかったときの靴底の変形しにくさを効果的に測定 - ソール摩耗耐性:
ソールのサンプルを粗い動く表面に接触させ、アスファルト上での長時間の磨耗に対する耐性をテスト
(参考記事 : シューズ・ブーツの認証はどのように行われるのでしょうか? DaineseJapan公式ブログ「Demonerosso」)
この認証を取得したシューズは、一定の衝撃や摩耗への強さを証明されており、事故時の被害軽減に役立ちます。
CE認証とラベル表示の基礎
モーターサイクル用シューズやブーツは、欧州の安全基準に基づいた複数のテストを受け、基準を満たすとCE認証を取得できます。合格製品には、シンボルマークと共に保護性能を示す情報がベロ部分などに記載されます。
認証レベルには「タイプ1」と「タイプ2」があり、タイプ2はタイプ1よりも高い保護能力を備えています。
とはいえ、「レベル」だけでは測れない“本当の安全性”
ラベルの数値は確かに重要な参考になりますが、それだけでブーツの安全性を完全に判断することはできません。
そこで注目したいのが「アクティブセーフティ(能動的安全性)」です。
たとえば、ダイネーゼの「AXIALシリーズ」のような高度なブーツは、関節の動きを妨げない構造や軽量性に優れています。
これにより、ライディング中の操作性が向上し、【そもそも転倒や事故を起こしにくくなる = アクティブセーフティ】という効果が期待できます。
つまり、動きやすさ=危険回避能力につながり、それこそが「事故の予防」に直結する本質的な安全性なのです。
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夏の足元も「安全」と「快適性」がポイント
バイクにおいて、シューズは「体と地面の接点」とも言える重要な装備です。特に夏場は、涼しさと安全性、そして操作性のバランスを意識して選ぶことが快適なライディングの鍵になります。
はじめてのライディングギア選びでは、見た目だけでなく「どこを守ってくれるのか」「夏でも快適に過ごせるか」という視点を持って、バイクライフをスタートさせましょう!
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