【CE規格】バイク用プロテクターの安全認証について徹底解説。事前チェックすべきポイントとは?

作成日 2023年3月18日 | 最終更新日 2024年10月29日
By 福岡店スタッフ

この記事では、安全認証規格であるCE認証ついて詳しくまとめています。
ダイネーゼでは、製品ページやブログなどでよく記載していますが、詳細をご存じではないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

最近は幅広い年齢層で、バイクの免許を新しく取得されるという方も多く、ダイネーゼ福岡店としても初心に戻って、このCE認証について基本的なことを改めてご紹介いたします。

今後のバイクウェアの選び方、安全性の判断として是非参考にしてみてください。

(音声で聞く)バイク用プロテクターのCE規格について徹底解説
7:54

CE認証の「EN1621」規格は、バイク用プロテクターの安全基準としてヨーロッパで導入されたもので、ライダーを事故から守るために必須となるプロテクターの性能を示します。

もともとバイクによる転倒や事故が多発していたことを背景に、安全性向上のために必要な保護基準を設けました。EN1621シリーズは部位ごとに分かれ、特に「衝撃吸収能力」を測るためのテストを通じて製品の耐衝撃性や耐久性が評価されます。

さらに部位ごとの試験も「レベル1」と「レベル2」に細分化されており、より高い性能を持つレベル2は、厳しい環境向けに設計されています。一般の使用であれば、レベル1でも十分な安全性は確保できていると考えて良いでしょう。

CE規格とは

バイクプロテクター - CE規格の解説 (1)

まずはCE認証について解説します。CE認証の、CEとはフランス語のConformité Européenneの頭文字で、
意味としては"ヨーロッパの適合性"です。CE認証の他に、CEマークやCEマーキングと表現されることもあります。

スクリーンショット (11)製品ラベルで認証がわかります。

ヨーロッパの適合性ということで、基本的には、欧州のEU加盟国に適応される認証基準です。

そのCE認証が必要とされる地域では、流通する多くの製品にCE認証、マーキングが義務付けられており、対象品目は家電や医療機器、化学薬品、化粧品、玩具などなどとあらゆる製品におよび、その中にオートバイライダー用がある、というわけですね。

スクリーンショット (1)部位別やレベルが明示されたラベルも付きます。

CE規格 EN1621シリーズの概要

先述の通り、CE認証にはオートバイライダー用のカテゴリがあり、厳しい安全基準とさらには細かく部位や製品等が設けられています。

プロテクターだけでも、以下のように細かく定められています。

EN1621-1:肩肘等

肘・膝・肩・腰用プロテクターの衝撃吸収性能を測る規格です。バイク事故の衝撃からこれらの部位を守る目的で、衝撃の吸収性能が一定以上であることが求められます。

EN1621-2:背中

背中用プロテクターに適用される基準で、特に背骨を守るための強度が求められます。衝撃エネルギーを吸収し、背骨への負担を軽減する構造が必要です。

EN1621-3:胸

胸部用プロテクターのための基準で、胸の骨や内臓を保護することが主な目的です。衝撃試験で耐久性を確認します。

EN1621-4:エアバッグ

エアバッグシステムに関する基準で最も新しい基準です。エアバッグ型プロテクターの衝撃吸収効果を検証し、バイク事故時の安全性を評価します。

バイクプロテクター - CE規格の解説 (4)
標準装備されているプロテクターの例。肩・肘は EN1621-1 により評価されます。
バイクプロテクター - CE規格の解説 (2)
オプションで選べる背中プロテクター。 EN1621-2 により評価されます。
バイクプロテクター - CE規格の解説 (3)
胸を守るプロテクターは EN1621-3 により評価されます。

CE規格取得に求められる衝撃吸収能力とは?

それぞれに必要な基準が設けられており、主な内容としては衝撃吸収能力です。
衝撃吸収能力とは、外部からの衝撃をプロテクターがどれだけ吸収、体に伝えないか、という性能です。

試験ではプロテクターを置き、上部からアンカー(金属の塊)を落とし50ジュールの衝撃を加えて、下(体側)にどれだけ衝撃が伝わったか、という試験を行います。

その結果、数字が小さいほど体への衝撃が小さいことになります。

バイクプロテクター - CE規格の解説 (5)

各安全基準とその基準値(KN)は次の通りです。
平均値とはその名称の通り、試験結果の平均値がこれ以下でなければいけません。
最大値とは、試験のいずれにおいてもこの値を1度も超えてはいけない値です。

    • EN1621-1
      レベル1 ... 35kN以下(平均値)
      レベル2 ...  20kN以下(平均値)
    • EN1621-2
      レベル1 ... 18kN以下(平均値) + 25kN以下(最大値)
      レベル2 ... 9kN以下(平均値) + 12kN以下(最大値)
    • EN1621-3:2018
      レベル1 ... 18kN以下(平均値) + 24kN以下(最大値)
      レベル2 ... 衝撃テスト:18kN以下(平均値) + 24kN以下(最大値) & 衝撃分散テスト:15kN以下(平均値) + 20kN以下(最大値)
    • EN1621-4
      レベル1 ... 4.5KN以下(最大値)
      レベル2 ... 2.5KN以下(最大値)
バイクプロテクター - CE規格の解説 (6)

バックプロテクター:試験結果のイメージ

バイクプロテクター - CE規格の解説 (8)

四肢用プロテクター:試験結果のイメージ

バイクプロテクター - CE規格の解説 (7)

バイク用エアバッグ:試験結果のイメージ


その他にもプロテクターの面積や性別、気温などと非常に多くの厳しい基準があり、さらにはプロテクターに限らず、ジャケットやパンツなどのウェア本体にもCE認証の基準はあります。

ジャケットやパンツ ウェアに関するCE規格基準

規格に応じて試験内容の基準は異なりますが、主には「引き裂き強度」「衝撃に対しての摩擦強度」「縫い目およびファスナー部分の強度」、つまりはジャケット等の本体の素材や縫製が試験の対象になっている安全基準です。

EN 17092:2020(AAA - AA - A - B - C)の分類

およそざっくり分けると、このようになります。

  • AAA:
    最も高い保護レベル。レース用や高速ツーリング用に推奨。レーシングスーツ等、「携帯性や軽量さ」が犠牲になることもありますが、最上級の安全性を求める方に推奨。
  • AA:
    中~上程度の保護。スポーツライディング、高速ツーリングなど。一般的なライディングで求められる安全性と着心地の良さは十分満たしており、かつ「安全性の高い」と言われる部類の製品。ただそれでも、いわゆる「ガッチリとした」本格デザインになる傾向があります。
  • A:
    中程度の保護。日常的な走行、ツーリング向け。AAAやAAに比べ、軽量さや着心地の良さのメリットが生かされます。ダイネーゼでは、エントリー~ミドルクラスのウェア、本格的なツーリングジャケット/パンツは、Aに分類されることが多いですね。
  • B:
    最低限の耐摩耗性を持つ(プロテクターは必須ではない)
  • C:
    特定の追加プロテクション(胸部、膝、股関節)を装備した製品に適用されますが、基本はプロテクティブウェアとの併用が推奨されるものです。

参考記事 : ジャケットとパンツの認証はどのように行われるのでしょうか? (Dainese Japan公式ブログ)

これらの安全認証を得たオートバイライダー用保護ウェアとしてのご案内が出来るようになります。レザージャケットに限らず、カジュアルコレクションとして人気のテキスタイルジャケットも、厳密には保護用ウェアです。

ジャケットへ縫い付けられたタグにオートバイライダー用保護ウェアの証明のCE認証があります。

バイクプロテクター - CE規格の解説 (9)
その他にもグローブやブーツなどの様々なモデルに認証規格が存在し、ライダーの安全に関わるものには基本的にCE認証があります。

CE規格チェックをおすすめする理由

なぜダイネーゼではこのCE認証という言葉が度々登場するのでしょうか。

ダイネーゼの製品は、これらのCE認証基準を必ず満たすように設計されています。もちろんイタリアのメーカーのため、CE認証が無ければ自国のEU圏で販売が出来ないという事もありますが、しかしそれ以上に、"ユーザーをミスリードしない"という事をとても大事に、徹底しています。

バイクプロテクター - CE規格の解説 (10)ダイネーゼの創業者 リノ・ダイネーゼ氏

店頭にいる私たちが「このプロテクター、ジャケットは安全ですよ」という案内に対して、ユーザーである皆様はその言葉を信じるしかないと思います。
しかしこのCE認証があることで、店頭スタッフのみならず、第三者機関に裏付けされた安全性であることがわかるというわけです。

私自身もこれは大丈夫なのかな?と思ったら、すぐに商品のタグを見てCEマークを探し、規格からバイク用の基準を満たしていることを確認しています。

なお、同じCE規格認証でも、バイク用としての適合が重要です。

バイクプロテクター - CE規格の解説 (11)
私たちスタッフは、CE認証が厳しい安全基準という事を理解していますので、CEマークがあれば間違いなくバイク用として安全な商品で、いちスタッフとして安心して皆様へお勧めできます。

ヘルメットの規格と、プロテクター・ウェアの規格の違い

皆様はヘルメットを購入される際に、JISやSG等を参考にされていますか?MFJやSHARP等の追加の認証はいらっしゃるとも思いますが、おそらくヘルメット購入時に公道走行に関する規格を参考にされている方は少ないように思います。

それはヘルメットに関して言えば、基本的にJIS/SG規格適合品のみが店頭に並んでいるため「この製品の安全性」は一定程度認められているとわかりますよね。

バイクプロテクター - CE規格の解説 (12)ヘルメット後ろにあるSG・PSCマークが基準

昨今、多くのメーカーよりCE認証、EN1621-XX適合、の製品が発売されているため、一昔前に比べればだいぶわかりやすくなってきたものの、とはいえ今の日本には、ヘルメット程、バイクウェア・プロテクター等の安全基準がないのが実情です。

ヘルメットとは異なり、何も基準もなく様々な商品が流通しており、判断は各個人に委ねられていますよね。

全日本選手権レースなどを主催しているMFJ(日本モーターサイクルスポーツ協会)においては、以前まではレースに適合するプロテクターの基準を独自に有していましたが、2021年からCE認証の適合品へ変更されました。

MFJや世界のレース界ではここ数年で特にエアバッグの義務化などライダーの安全を守る様々な動きが加速しています。

今の日本では当たり前で法律で決められているヘルメットが着用義務になったのは1986年からです。

バイクプロテクター - CE規格の解説 (13)
公道はサーキットとは異なり、法律の改定等や難しい事情から時間が掛かることも多々あるとは思いますし、そのため最終的には各々が見極めることが非常に重要かと思います。

今回のCE規格に関する情報を思い出して頂き、製品検討の際の参考にしていただきたいと思いまとめました。

興味を持たれた方は、お持ちのプロテクターやウェア等にCEマークがついているのか探してみてください。またダイネーゼストアでは、どの商品がどの規格に準じているか、タグで詳しくご理解いただけますので、是非店舗でご覧くださいませ。

エアバッグに関する安全基準なら、台場店のこちらの記事もどうぞ。

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Tags: プロテクター

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