寒暖差の激しいシーズンや梅雨時の対策として、持っておきたいのが防水アイテム。今回はその中でも『足元』の防水アイテムに注目してみましょう。
防水=蒸れる? 雨の日に乗らないなら不要? そんな素朴な疑問にもお答えします。ぜひ最後までご覧くださいませ。
防水は蒸れる?
ズバッと本題から入りたいと思います。店頭でも『防水シューズは蒸れるのでは?』というご質問をいただくことがよくあります。
結論から申し上げますと、“条件によってまったく蒸れないわけではない。でも、不快ではない”というのが一番正確な答えです。
|蒸れるメカニズムとは?
そもそも、なぜ蒸れが発生するのでしょうか。
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人間は汗をかくことで体温を調整しています。汗腺は全身に存在しており、足も例外ではなく汗をかきます。
汗=湿気ですので、革靴でも、防水シューズでも、汗をかけば内部に湿気がこもり、蒸れは発生しているのです。
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これが、通気性のよいパンチング加工のモデルや、メッシュ素材のシューズであれば、空気の逃げ道がある分、湿気も逃げやすく、結果として蒸れにくく感じます。
一方、防水加工されたフットウェアの場合は、その防水の仕組みによって“蒸れやすさ”の度合いが異なってくるというわけです。
|蒸れの度合いの違い
防水と聞いて、多くの方がまず思い浮かべるのは『長靴』ではないでしょうか。
長靴は繊維の上からラバーで覆うなどして、物理的に水の侵入を防ぐ構造です。その代わり、内側の湿気や空気も一緒に閉じ込めてしまうため、どうしても蒸れやすく、不快感につながるケースが多いです。
バイク用フットウェアの防水仕様とは?
では、ライダー向けのバイク用防水シューズはどうなのでしょうか?
ダイネーゼが展開する防水フットウェアには、主に二つの仕様があります。
|D-WP(ダイネーゼ・ウォータープルーフ)
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まず一つ目が『D-WP』と呼ばれる防水仕様です。商品名にもよく記載されているので、目にされたことがあるかもしれませんね。
これは "DAINESE WATER PROOF" の略で、ダイネーゼ独自の防水フィルム素材のことを指します。
構造としては、シューズの外側素材と内装の間に、防水フィルムをラミネート加工して挟み込むことで、防水性を実現しています。
これにより、スタイリッシュでモダンなデザインはそのままに、防水性能をプラスできるというメリットがあります。
なお、外装部分が濡れることはありますが、水が中に浸透してくることはありません。
|GORE-TEX®(ゴアテックス)
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そしてもう一つが『GORE-TEX®(ゴアテックス)』です。登山ウェアやスポーツ用品でも幅広く採用されていることで、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
ゴアテックスとは、防水性・透湿性ともに非常に高い性能を持つ特殊フィルムです。耐水圧などの詳細な数値は公表されていませんが、ゴアテックスの名称が使われている製品は、一定以上の厳しい基準をクリアしている証でもあります。
では、その高い防水性能によって、蒸れやすくなるのでは?という疑問も湧いてきます。
答えは、「いいえ」。ゴアテックスには、蒸れを軽減するもう一つの大きな特徴があるのです。
GORE-TEX®が蒸れにくい理由 ー水は通さず、湿気は通すー
ゴアテックスが蒸れにくい理由は、そのフィルム構造にあります。
フィルムには、目に見えない無数の小さな孔(あな)が空いており、この孔は水分(液体の水)は通さず、より小さな水蒸気は通すよう設計されています。
この仕組みは、『水蒸気の濃度差』を利用したもの。
靴やブーツの内側が高湿度で、外が乾燥していれば、その差を利用して水蒸気(湿気)は外へと自然に抜けていきます。
これが、“蒸れにくさ”の正体です。
※ 湿気が逃げにくくなる場合も
ただし、外気が高温多湿の状況(たとえば梅雨の蒸し暑い日)では、内外の湿度差が少なくなるため、透湿性能はやや低下することがあります。
それでも、ラバー製の完全防水靴などと比較すれば、ゴアテックスは圧倒的に快適な着用感を提供してくれます。
雨の日にバイクに乗らないなら不要?
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こちらも店頭でよくいただくご質問です。答えは”必須ではないけれど、持っていると小さな悩みが解消されます”というのが筆者の実感です。
実際に私自身、バイク用のフットウェアはすべて防水仕様で揃えています。理由は単純で、あえて防水モデルを選ぶことでバイクライフがぐっと快適になったからです。
|小さな悩みからの解放
普段の服選びで「今日は何を着よう?」とか、「傘は持っていったほうがいいかな?」と迷ったことはありませんか?
気温によって薄手のアウターを羽織るか、雨具を持つか決めるあの悩み、バイク用ウェアでも同じことが起きます。
たとえば、朝晩の寒暖差に合わせてレイヤーを追加するかどうか。雨が降りそうだけどこの靴で大丈夫かな? もし降ったら諦めよう……そんな不安。
その小さな悩みは、足元だけなら防水シューズを履くことでほぼ解決します。
なぜなら、防水シューズがあれば、年間を通して天候を気にせず快適に履けるからです。
「でも、夏は蒸れが心配…」という声もよく聞きますが、ご安心ください。特に最近のモデルは蒸れを軽減する工夫が施されています。
|OrthoLite®インソールがもたらす相乗効果
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ダイネーゼの現行シューズであれば、ほぼすべてのモデルにオーソライトインソールが採用されています。ダイネーゼに限らず、こちらもメジャーなスポーツウェアブランドなどでも広く採用されており、インソール単体でも売っていることもあり知名度も高いのではと思います。
このオーソライトの特徴をざっくりお伝えすると、ウレタンフォームの履き心地よく、防臭効果もあり、通気性に優れている。といった感じでしょうか。今回のテーマに合わせたいのは、通気性という部分です。
靴の中で常に接地している足裏は、汗の影響を最も受けやすい部位です。
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オーソライトは「オープンセルPUフォーム」と呼ばれる、空気を多く含んだウレタン素材で作られており、インソール全体に空気を含んでいます。
この構造によって、インソール内では空気や湿気が一点にこもるのではなく、広く分散される仕組みになっています。つまり、足裏に感じる「蒸れ」や「ジメジメ感」をインソール全体で緩和してくれるわけです。
さらに、D-WPのような透湿性を備えた防水フィルムと組み合わせることで、靴内に籠った湿気に逃げ道が生まれます。オーソライトで分散された湿気が、D-WPの透湿層を通じて外にゆっくり抜けていく。このように、「湿気をためずに分散させ、外に逃がす」というダブルの仕組みが、結果的に長時間のライディングでも足元を快適に保ってくれるのです。
まとめ ー防水は“保険”ではなく“快適性”の一部ー
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防水=雨対策、という印象が強いかもしれませんが、実際にはそれだけではありません。汗や湿気による不快感の軽減、気候の変化への対応力、そして何より、毎日のちょっとした「悩み」からの解放――防水シューズは、快適なライディングを支えるひとつの選択肢です。
D-WPやゴアテックスのような透湿性フィルム、オーソライトインソールの機能が合わさることで、ただ水を防ぐだけでなく、“履き心地”という面でも大きな価値をもたらしてくれます。
天候に振り回されるのではなく、自分のペースで走り出すために。足元から始まる快適さ、ぜひ一度体感してみてください