INとOUT/ダイネーゼ独自のインブーツ仕様を解説

作成日 2025年11月30日
By 谷岡(タニオカ)

ダイネーゼのライディングブーツには、インブーツ と アウトブーツ の2種類があります。その中でも、ダイネーゼ独自の仕様なのが「インブーツ」です。これらは用途や好みによって選べる装備ですので、ツーリング派の方もサーキット走行を楽しむ方も、ぜひ違いをチェックしてみてください。

1. インブーツとアウトブーツは何が違う?

日本では一般的に「ブーツイン」「ブーツアウト」という呼び方がありますが、ダイネーゼの分類はこの一般的な呼び方とは基準が異なります。
ダイネーゼでは “ブーツそのものを基準” に名称が付けられているため、一般的な呼称と逆に感じる部分があるのです。

OUTBOOTS

アウトブーツ

アウトブーツは、最もスタンダードなタイプで、パンツの裾をブーツの中に入れて着用する 形式です。
つまり、一般的にいう「ブーツイン」に相当します。

呼び名が異なる理由は、「何を基準にしているか」の違いです。

一般的な「ブーツイン」:パンツを基準
→「パンツの裾をブーツに入れる」

ダイネーゼの「アウトブーツ」:ブーツを基準
→「裾の外(アウト)に位置するブーツ」
という考え方で名付けられています。

TORQUE 4 BOOTS image

TORQUE 4 BOOTS

マイクロファイバーとD-Stone™ファブリックを使用し、TPU製のD-Axialシステムと交換可能なマグネシウム製スライダーを搭載したTORQUEブーツの最新モデル。

※価格や仕様は予告なく変更される場合があります。最新情報はダイネーゼAGVジャパン公式サイトをご覧ください。


 

INBOOTS

インブーツ

同じ理屈で、インブーツは一般的な「ブーツアウト」に当たります。
つまり、パンツの裾がブーツを覆うように外側を通る タイプです。

一般的な「ブーツアウト」:パンツの裾が外
ダイネーゼの「インブーツ」:裾の内側にブーツが入る

という、基準の置き方による表現の違いです。

AXIAL 2 BOOTS image

AXIAL 2 BOOTS

DAINESEの最新テクノロジーを搭載したトップクラスのレーシングブーツが進化を遂げました。レーシングスーツやレザーパンツの下に着用できる”INシステム”が採用されています。最高のパフォーマンスを発揮するために、ケブラーカーボンを使用したAxial Distorsion Control Systemテクノロジー、Groundtrax®レーシングソール、交換可能なマグネシウムスライダーを採用しています。

※価格や仕様は予告なく変更される場合があります。最新情報はダイネーゼAGVジャパン公式サイトをご覧ください。

 

言葉だけを見ると少しややこしく感じるかもしれませんが、「ダイネーゼはブーツを基準に名称を付けている」 と覚えておくと理解しやすくなります。

2.ダイネーゼ独自のインブーツ構造

ブログ用) 長方形(横) - 通常サイズ (19)-2インブーツは、ダイネーゼが長年にわたりレーシング現場で培った知見と特許技術を基に開発を進めてきた独自のシステムです。最新モデル「AXIAL 2 IN BOOTS」は、そのテクノロジーを結晶させた究極の形と言えます。

パッシブセーフティとアクティブセーフティ

安全性を語るうえで見落とされがちな概念が、パッシブセーフティとアクティブセーフティの違いです。
従来のプロテクターが提供するのは、衝撃から身体を守る「パッシブセーフティ」のみであり、そもそもの衝撃の発生を防ぐことはできません。

一方で、衝撃そのものを回避したり、ダメージを最小限に抑えたりする性能は「アクティブセーフティ」と呼ばれています。
ダイネーゼはこのアクティブセーフティを実現するため、人間工学、軽量性、そして動きの自由度に重点を置いて製品開発を行っています。

ダイネーゼ独自のブーツ・インシステムでは、スーツとブーツを大きなベルクロで強固に連結し、従来のアウトブーツ(※ブーツが外、裾が中の一般的な構造)では得られない安定性と一体感を実現。
さらに、歪み制御システムを備えたブーツとスーツを統合することで、足首のねじれを効果的に抑制し、比類のない正確なライディングを可能にします。
スーツとブーツが協調して機能するよう設計されたこの一体型構造こそが、従来モデルを超えた高レベルの安全性を提供する理由です。

ブログ用) 長方形(横) - 通常サイズ (18)-2

事故を防ぐためのブーツという発想

アクティブセーフティの実現は容易ではありません。痛みを伴う怪我を未然に防ぐためには、既存の枠にとらわれない発想と革新が必要でした。
ブーツイン構造は、まさにその課題に応えるために生まれたシステムです。

一般的なアウトブーツには、ファスナーや樹脂パーツなど外側に突起物が多く、外部の障害物やバイクのパーツに引っかかるリスクがあります。美観を重視したデザインであっても、安全性の観点では不利に働くことがあるのです。

ダイネーゼがブーツをスーツ内部に収める構造を採用した理由の一つは、この“引っかかり”によるアクシデントの発生を防ぐためです。
スーツがブーツを覆うことで、ライディング中にブーツが開いてしまうリスクを排除し、ファスナーや留め具が露出しない構造により、外部の物体に接触しても引っかかりにくくなります。

このように、スーツとブーツを一体化させることでアクティブセーフティを高め、望まない事故を防ぐことこそが、ダイネーゼ独自のインブーツシステムの目的です。

3.なぜダイネーゼはアウトブーツも展開しているのか

ブログ用) 長方形(横) - 通常サイズ (20)-2ここまで読むと、「アウトブーツは危険なのでは?」と感じる方もいるかもしれません。しかし、必ずしもそうではありません。
アウトブーツは長年にわたりレーシングシーンで使用されてきた実績があり、一定の安全性やプロテクション性能を備えています。多くのライダーにとって、日常的なスポーツライディングやツーリングに十分対応する優れた選択肢です。

ブログ用) 長方形(横) - 通常サイズ (21)-2ダイネーゼがアウトブーツをラインナップしている理由は、安全性の低さではなく、用途・装備スタイル・求める動きや装着性の違いに対応するためです。

用途・スタイルの違い

アウトブーツは、パンツを外に出す一般的なスタイルに合わせやすく、着脱性にも優れています。街乗りやスポーツ走行など、インブーツシステムのメリットを最大限発揮できるレーシングスーツを着用しないシーンでは、アウトブーツが適しています。

安全性の「方向性」の違い

アウトブーツが備える保護は主にパッシブセーフティ、つまり「衝撃が発生した際のプロテクション」に優れています。
一方でインブーツは、

  • 衝撃の発生リスクを抑える構造
  • 引っかかりを最小化する一体設計
  • スーツとの連結による安定性

など、アクティブセーフティに焦点を当てているのが特徴です。
どちらが優れているというよりも、安全性のアプローチが異なると捉えるのが適切です。

レーシング環境で最大性能を発揮するのがインブーツ

ブログ用) 長方形(横) - 通常サイズ (22)-2

レースのように限界領域でのコントロール精度が求められ、転倒時のリスクが大きいシーンだからこそ、一体型インブーツシステムのメリットが最大化されます。
そのためプロライダーや本格的なサーキットユーザーに選ばれやすく、ダイネーゼがインブーツ技術を進化させ続けている理由でもあります。

つまり、

アウトブーツ=危険ではなく、インブーツ=より高度な安全思想に基づいた構造

という位置付けです。
ダイネーゼは幅広いライダーのニーズに応えるために、両方を展開しているのです。

 

 

Tags: ブーツ&シューズ, サーキット, レーシングブーツ

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