近年、市場にはさまざまなバイク用エアバッグ製品が増えてきましたよね。
この記事では、事故時の衝撃から身体を守るために、信頼性の高いエアバッグ製品の選び方や認証基準について考えていきましょう。
従来のプロテクターに比べて、エアバッグはどの程度安全なのでしょうか?またそれを知るために、どこを見れば良いのでしょうか?
皆さまの中には、選択肢が広がるこの状況で「どの製品が安全性や快適性を最大限確保できるか」と悩んでらっしゃる方も多いでしょう。
エアバッグを身につけて走る高速道路や長距離ツーリング、シティライドの安心感はとても大きいですから、是非この記事を読んでみてください。
まずエアバッグの効果を知るために、安全基準である「CE規格」は外せません。
バイク用プロテクターのCE規格の中には主に、【EN1621-1、EN1621-2、EN1621-3、EN1621-4】の4種類があり、プロテクターやエアバッグに求められる詳細な試験方法が含まれています。
EN1621シリーズの規格は、バイク事故時の衝撃から身体を守るためのプロテクションを評価し、まさに製品の信頼性を示すための基準です。
CE規格の概要とエアバッグ
バイク用プロテクターのCE認証は、特定の衝撃テストに基づき、プロテクターが事故時にどの程度の衝撃を吸収・分散できるかを示します。
CE規格のEN1621シリーズでは、各部位のプロテクションごとに基準が異なり、プロテクターの性能を一定のレベルで分類します。
エアバッグの役割は、これらの基準をクリアし、さらに「特定部位の衝撃分散」などを重視してライダーの安全を確保することです。
EN1621-1 (肩・肘など四肢用プロテクター)
- 概要: 肘や膝などの関節を保護するためのプロテクター用の基準。
- 試験方法: EN1621-1の試験では、50ジュール(J)の衝撃を与え、その際にプロテクターが分散した力をキロニュートン(kN)で測定します。レベル1は衝撃を平均35kN以下、レベル2は平均20kN以下に抑える必要があります。
EN1621-2 (背中用プロテクター)
- 概要: 背中や脊椎を守るためのプロテクター用規格で、特に大きな衝撃を防ぐことを重視。
- 試験方法: 50ジュールの衝撃をプロテクターに与え、レベル1は衝撃を平均18kN以下、レベル2は平均9kN以下に抑える必要があります。
EN1621-3 (胸部用プロテクター)
- 概要: 胸部プロテクターの基準で、主に胸骨と肋骨を保護。
- 試験方法: 50ジュールで衝撃を与え、レベル1では衝撃力を平均18kN以下、レベル2では18kN以下かつ衝撃分散テストにおいて平均15kN以下に抑えることが求められます。胸部保護はレースシーンでも重視され、プロテクターの厚みや形状に工夫がなされていますね。
EN1621-4 (エアバッグプロテクター)
- 概要: バイク用エアバッグの試験基準。
- 試験方法: 50ジュールで衝撃を与え、レベル1では衝撃力を4.5KN以下に、レベル2では2.5KN以下に抑える必要があり、最も厳しい数値が求められています。
※試験方法や求められる数値は年度(:2014や:2018等)により改定、順次変更される場合があります。あらかじめご了承ください。
ダイネーゼのエアバッグは、どの程度効果があるのか
ではダイネーゼのエアバッグの代表作であるSmart Jacketは、これらに対しどの程度の数値なのでしょうか?
上記の数値を把握することで、一般的なプロテクターに比べ、どの程度の効果があるか、想像することができます。
エアバッグ(胸)の効果
まず胸については、EN1621-3 (胸部用プロテクター)の結果を比較してみましょう。
EN1621-3 (胸部用プロテクター) |
Smart Jacketの 試験結果 |
平均18kN | 平均2.3kN |
※数値は製品取扱説明書より。サイズにより複数パターンがあるため、およその値に丸めて、わかりやすくしています。
市場でよく見かける胸部プロテクターに対し、ダイネーゼのエアバッグを着けることで、受ける衝撃は、
2.3kN / 18kN = 約13%(▲約87%カット)
まで軽減されることがわかります。
エアバッグ(背中)の効果
次に背中については、EN1621-2 (背中用プロテクター)の結果を比較してみましょう。
EN1621-2 (背中用プロテクター) |
Smart Jacketの 試験結果 |
平均18kN | 平均2.6kN |
※数値は製品取扱説明書より。サイズにより複数パターンがあるため、およその値に丸めて、わかりやすくしています。
こちらは一般的な背中用プロテクターに対し、ダイネーゼのエアバッグを着けることで、受ける衝撃は、
2.6kN / 18kN = 約15%(▲約85%カット)
まで軽減されることがわかります。
他社メーカーのエアバッグと効果を比べるには
ここで明示することは控えさせて頂きますが、このように、
- CE規格の有無と、EN1621シリーズの取得状況を確認してみる。
- 試験結果を定量的にチェックしてみる。
の2つのポイントを元に比較すると、お客様にとって最適な製品が見つかることでしょう。
ただもちろんそこには、「使い方」「予算」「スタイル」「利便性」「ブランドの好み」といった安全性以外の、お客様によって異なる重視ポイントも忘れてはいけません。
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記事作成 : 坂井(サカイ)
エアバッグの有効性を考える
エアバッグは、一般的なプロテクターが対応しきれない広範囲の衝撃を防ぐ可能性をもち、また、より強固に守ることができます。
一方、本当にそのエアバッグが安全か?どうかについては、日本において法で定められた表記があるわけでもありませんから、数値や取得した規格を元に、ユーザー自身で比較・検討することが求められます。
車用のエアバッグとは違い、クッションのように「ボンッ」と膨らめばよいわけではありません。
身体が投げ飛ばされたり、背中や胸が、バイクや障害物に直接衝突したり、対向車に追突されるなど、ライダーは常に危険と隣り合わせです。
そのため、「鋼のように」硬くなるシールドでなければいけません。
- その時、いま身に着けている製品は、どの程度衝撃を吸収してくれるものなのか?
- その結果は、第三者によって証明されているのか?
適切な情報を集め、是非皆さまでご検討頂ければ幸いですし、購入時の検討基準の参考になれば幸いです。
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記事作成 : 福岡店スタッフ
最後に..ダイネーゼストアのブログなので、皆さん是非ダイネーゼのエアバッグを選んでくださいね(笑)
ダイネーゼのバイク用エアバッグ「D-air」製品
ワイヤレス式エアバッグシステムD-airを搭載したエアバッグモデル各種は、ダイネーゼジャパン公式サイトでご覧いただけます。
※価格や仕様は予告なく変更される場合があります。最新情報はダイネーゼAGVジャパン公式サイトをご覧ください。