こんにちは!
さて、前回までのブログはDaineseの歴史や発明、
そこに深く寄与した人物と事件を紹介いたしました。
こちらのリンクから前回のブログを閲覧できます↓
現代のレーシングスーツの基礎を作ったのはダイネーゼ?
なので今回はAGVの軌跡を
皆さんと一緒にたどっていきたいと思います。
あまり知られていない内容が多いと思うので、
どうぞ最後までご覧くださいませ👍

時は1945年、第二次世界大戦が終わり、
ジノ アミザノ(Gino Amisano)という当時24歳の
イタリア人の青年が革を扱う靴工場の多い街である、
ヴァレンツァ(Valenza)でものづくりへの
熱い野心を持っていました。

そこで目をつけたのが自転車レース。
アミザノ青年は街の革のスペシャリストと共に、
自転車のサドルカバーとレーシングサイクリスト
向けの軽量ヘルメットの製作を始めます。
...がしかし、そのわずか1年後に独立を決めます。
1人で経営した方が意見などの食い違いなど起こらず、
自分のやりたいことができる!として
自転車のことは忘れ、新たなる市場に手を伸ばします。
そこで目をつけたものがこちら。

イタリアといえば...な乗り物である、
VespaやLambrettaを代表する、
スクーターに将来性を見出した彼は、
専用のサドルカバーとクッションを製造する会社、
AGVを1947年に設立しました👏👏
このAGVという社名は彼の名前と街の頭文字から
来ております👍
意外にも最初からヘルメットを作る会社では
なかったというのが驚きですよね。

さらにもっと驚くべきことに、
AGV製のサドルカバーが品質が良く、
評判が広まって1年の間に生産量は20台分から
1週間で700台分に増加と一気に人気商品になります。
それからスクーターがイタリアの街を中心に流行し、
AGVは大きく成長します。
アミザノには市場やブームを先取りする
才能があったのかもしれませんね🤔

十二分に贅沢な暮らしを送れるくらい成功した彼。
しかし、最初に惹かれた"レース"に対する
気持ちが残されていたのか、
定期開催される戦後最初のバイクレースに足しげく
通うようになりました。

その当時のレーサーの頭には
その場しのぎのレザーキャップのみで、
とても頭を守れる装備ではないことに
アミザノはショックを受けます。
ある日、2人のレーサーが大クラッシュ😱
目の当たりにしたアミザノは保護能力の高い、
レザーヘルメットの製作に乗り出しました。
...しかし、すぐに問題が発生😥

ヴァレンツァには革靴用の型は大量にありましたが、
ヘルメットを作るための型がどこにもありません。
柔らかいレザーキャップならどうにかなりますが、
硬いレザーヘルメットを作るとなるとどうしても
頭の形の模型、ないし型が必要です。
どうにかして頭の型が欲しい...
そこでアミザノはあることを閃きますが、
若かりしアミザノには大変思い切りと
勇気が必要なことでした。
街から少し離れたあるところへ彼は向かいます...

なんとあのレオナルド ディカプリオや
マイケル ジャクソンが愛用していた
当時世界で最も権威のある帽子会社、
Borsalino(ボルサリーノ)の本社に訪れ、
ドアをノックしたのです。
ボルサリーノの方々は緊張したアミザノの言葉を聞き、
"ライダーを守りたい"という熱い思いに心打たれ、
なんと無償で頭の型を貸し出してくれたのです👏

そうして初のレザーヘルメットが完成しました👏
製造工程はとても手間のかかるもので、
型取ったレザーを122度のオーブンで1時間乾燥させ、
硬いシェルにした後、塗装が施されました。
ヘルメットに大事な要素はプロテクションだけでは
ございません。
被った時の快適性を求め、
衝撃を吸収するレザーパッドと中綿を仕込んで
"内装"を作りました👏
このAGVが送り出したレザーヘルメットは
多くのライダーから高い評価を得ました!

しかし、おちおちしていられない状況が続きます。
技術の進歩によりこれまで以上に
スピードが出せるバイクが登場しました。
これすなわち、クラッシュした際の衝撃も
これまで以上に大きくなるということ...。
アミザノはもっと安全性を高めなければ...!
とヘルメットの改良、主に材質変更を試みます🤔

"タイヤ...つまりゴムを新しい素材にできないか?"
そこでとあるタイヤ・メーカーが発明した、
生ゴムに硫黄を混ぜて加熱することで
化学反応が起こり、強靱な弾性と安定した耐熱性を
持つようになる加硫法を採用して、
新しいヘルメットづくりを加速させます...!
しかし、ここでもアクシデントが起こります。
AGVの競合他社が集まり、加硫法での生産工程の
独占権を取得したのです...
これによりまた新たな素材を
探さなければなりませんでした😥

アミサノは化学のプロフェッショナルと共に
セルロース繊維に、硬さ・コンパクトさ・
弾力性などの優れた特性を持たせる加工、
ケリゼーションという加工方法にたどりつきました。
一般的に分かりやすい言葉に変えると、
グラスファイバーを生み出すことに成功しました👏

アミザノは生み出したグラスファイバーを
ケリゼーションの頭文字であり、
ギリシャ文字で天に向け手をかざす様子を表し、
勝利を意味する"κ"※読みはKappa(カッパ)から
"Kappa fiber (カッパ ファイバー)"と名付けました。
"The Kappa fiber that beats everything"
訳:すべてを打ち負かすカッパーファイバー
とスローガンを打ち、大きな利益を生みました。
この"κ"という記号は現在のヘルメットである

グラスファイバーヘルメットで人気を博しましたが、
AGVについて認知を拡大するために、
1958年、世界で初めてサーキットに広告を出し、
更に映画にもAGV製品を提供したりと
数ヶ月のうちにAGVは有名になりました。
アミザノはバイク界で著名人となり、
"ヘルメットの王様"と呼ばれるまでになりました👑
そんな王は1人の英雄と運命的な出会いを果たします。

※右写真(左: アゴスチーニ 右: アミザノ)
Daineseのレジェンドライダーでもある、
Giacomo Agostini (ジャコモ アゴスチーニ)に
強さとカリスマ性を見出したアミザノは
1967年のシーズンから当時異例の
スポンサー契約を結ぶことになります。

その2年後にヨーロッパ初のフルフェイスヘルメットを
市場投入し、その高い安全性が認められ、
数々のレジェンドライダーを契約を結びます👏

Barry Sheene (バリー シーン)、
Kenny Roberts (ケニー ロバーツ)、
Angel Nieto (アンヘル ニエト)など、
彼らと共に数々のチャンピオンを獲得しました。
それから時代が進み1996年、
AGVは新たなるスーパースターと出会います。

彼の名はValentino Rossi (ヴァレンティーノ ロッシ)
普段は太陽のように明るい性格ですが、
いざレースになると夜のように明るさが消え、
冷酷にサーキットを支配するその二面性から
彼のトレードマークは"SOLE LUNA"
※日本語で太陽と月
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そのマークを大胆にあしらった
とてもポップでアイコニックなデザインが
爆発的な人気を呼び、
AGVヘルメットの知名度も世界を股にかけ
そのブランドの名が知れ渡ることとなります。
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その独創的で遊び心にあふれたなデザインのせいか、
彼のグラフィックモデルは人気が衰えません!
多数ラインナップされておりますので、
気になった方はぜひ覗いてみてください😌
そして時は流れ2007年、

AGVはワールドチャンピオンシップの成功という点で
同じ実績を持ち、同じイタリアの
革新企業であるダイネーゼに買収され、
両社は頭からつま先まで保護する
先進のソリューションにおける
専門知識を組み合わせることができるようになりました。

そして同年、
AGVは従来の考え方を覆し、
ヘルメットのシェル(1番外側のパーツ)からではなく、
ライダーの頭部からヘルメットを設計する
"AGV Extreme Standards"という
新しい統合技術設計・構造アプローチを発表します。

この取り組みによりAGVのレースフラグシップモデル、
PISTA GPシリーズがProject 46の名のもとに
開発され、テストはValentinoが直々に行いました。
そして2012年に実戦投入され、
PISTA GPがお客様にもリリースされました👏

2016年にはスポイラー、バイザー、ベンチレーション、
内装などに改良を加えたPISTA GP "R"がデビュー👍

その2年後、2018年にはスポイラー、内装の
構造を変更した現行モデル、PISTA GP "RR"となり、
現在もその系譜が続いております👏
10年以上大きくシルエットは変らないということは、
PISTA GPシリーズはレースヘルメットの
完成形といっても過言ではないと私は思います。
いかがでしたでしょうか?
AGVヘルメットの軌跡をたどると
ものづくりに対する
熱いイタリアンスピリットを感じますね!

これからもAGVは見ているだけで
惚れ惚れするようなデザインのモデルが続々と
発表されます!
ご予約など各店舗で受け付けておりますので、
気になった方はぜひお問い合わせくださいませ。
※ダイネーゼ大阪アウトレット店を除きます。
Caschi da Corsa dal 1947.
それでは次のブログでお会いしましょう!
Arrivederci~🏍️